ディープラーニングに最適なGPUを搭載した高密度型サーバ
ところで、現状、ディープラーニングを行うための学習ツールが数多く登場している。「Googleやマイクロソフトなどからもディープラーニングを行うツールは提供されています。そして、超並列計算が行えるGPUも今なら比較的容易に手に入ります。あとはIoTのセンサーなどからビッグデータをいかにして集め、それを使ってどう学習するかです。つまり、企業においてディープラーニングは、すでに実用段階に入っています」と田上氏。
たとえば自動運転などは、ディープラーニングの実用化が進んでいる領域だ。自動車には多数のセンサーが搭載されており、そこから得られるデータをまずはクルマ側で処理する。そのための専用コンピュータもすでにある。クルマで得られる大量データは、モバイル通信の仕組みなどを用いデータセンターに送られ、そこで蓄積されディープラーニングを行うことになる。ディープラーニングで得られた知見は再びクルマにフィードバックされ、安全な自動運転を行うために利用される。
「デルでは、クルマで発生する大量データをデータセンターで受け取り、Hadoopなどを使って蓄積してGPUクラスターで学習する基盤環境を提供します。そこではGPUを最大限に活用し、ディープラーニングを効率的に行えるようにします。そんな基盤を提供するのが、デルの役割です」(田上氏)
デルはあくまでもハードウェアベンダーの立場だという。なので、機械学習のどのアルゴリズムを使えばいいか、どんなデータセットを与えればよいかを決めるわけではない。さまざまなアルゴリズムやツールがあり、ユーザーはその中から最適な手法を選択する。デルでは、選ばれた手法に適した基盤を素早く提供するためのオープンな設計を手がけている。そのために、単に複数のGPUボードが搭載できるハードウェアがあるだけではない。たとえば「Cobbler+Ansible」のようなオープンソースを活用したり、学習ツールに最適なOS環境はもちろん、最適な実行環境となるようBIOSレベルの設定を切り替えることも容易である。
「GPUを含め、それぞれのディープラーニングの手法に最適な構成を簡単に組み替えて提供できる。これがデルの強みでもあります」(田上氏)