
新しいビジネスモデルや企業競争の優位性に絡めて、「デジタルトランスフォーメーション」(DX)という用語をよく耳にするようになってきた。こうした潮流で変化するのはビジネスだけではない。ITインフラや運用モデルも対応していく必要がある。EnterpriseZine Day 2017「デジタル時代を支えるITインフラ戦略」の特別講演で、IT管理者やインフラ担当がおさえておくべきポイントをIDC Japanリサーチマネージャ 入谷光浩氏が解説した。
デジタルトランスフォーメーションはUberではなくフォードで起きている
もともと「デジタルトランスフォーメーション」(DX)とは、2004年にスウェーデンの大学教授が「デジタルが人々の体験を再定義し、生活や仕事、人間関係などあらゆる面においてよりよいものに変化すること」と提唱したことからはじまる。現在ではクラウドやモビリティなどの第3のプラットフォーム技術を利用して、新しい製品やサービス、ビジネスモデル、関係を通じて価値を創出して競争上の優位性を確立するなど、ビジネス寄りの話が多い。

IDC Japan リサーチマネージャ 入谷 光浩氏
よく引き合いに出されるのがUber。ただし入谷氏は「Uberはもとからデジタルを想定したビジネスをしているので、デジタルへのトランスフォーメーションをしていません。むしろ車の価値を所有から利用へと変えたデジタル破壊者です」と指摘する。
一方、トランスフォーメーションをしている例として入谷氏が挙げるのはフォード。昨年から「FordPass」というスマートフォンアプリ(まだ限定版)で車検や保守の予約、遠隔で車にロックをかけるなどのサービスを提供している。フォードは車の所有者に向けたサポートをデジタル技術を駆使して充実させ、Uberに対抗している。
ここで起きているのは企業が新しい技術を用いて顧客との関係を変え、自身の姿を変容させているということ。フォードなら製造業から人の移動をサポートするサービス企業へと転換を図ろうとしている。こうした転換や変革が「デジタルトランスフォーメーションで起きることの本質」と入谷氏は説明する。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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