
BtoBの間接資材通販の最大手である「モノタロウ」。創業より順調に事業規模を拡大し、米国を始め海外にも展開するなど著しい成長を続けている。その原動力となっているのが、創業以来の「攻めのIT」だという。もとはインターネットの検索性を活かしたサービス設計に始まり、データドリブンによるマーケティングや最先端技術を活用した物流センターやリアル店舗など、その取り組みは多岐にわたる。モノタロウの「攻めのIT」を支える考え方や組織づくりなどについて、同社 データマーケティング部門 集客・WEB改善グループ所属の米島和広氏が解説を行った。
「モノタロウ」を継続的な成長に導く「快適な買い物体験」の創出
製造業や建築、飲食、農業など、様々な仕事の“現場”におけるニーズにきめ細かく対応し、「現場の味方」を標榜する「モノタロウ」。BtoB向け間接資材のEC事業を展開し、創業19年目の現在、売上は1,053億円を超え、中小企業を中心に384万の顧客を擁するまでになった。1年に300万以上、1日に1万点もの商品が追加されることもあり、取扱品数は現在1,800万点に上る。
今回登壇した米島和広氏は、ECサイト「モノタロウ」を運営するデータマーケティング部門に所属し、データを活用して利便性を高め「より快適に簡単に買い物ができるサイト」の実現が目標だ。

「ECサイトで取り扱う商品は、工具や消耗品、カー用品など、原材料以外の“間接資材”と呼ばれる商品だ。かつてはそうした商品がすぐに必要であっても、見積もりや価格交渉、納期確定などに時間がかかり、その分人的コストもかかっていた。そこで、現場に無駄な手間をかけることないECサイトにより、関節資材調達を効率化できるように力を入れてきた」と、米島氏はこれまでの事業戦略を振り返る。
直近は、9年連続20%以上という継続的な成長を実現し、対応できる業界を増やしながら、取り扱う商品数や在庫数を増やしてきた。驚くべきは、初回利用者からリピーターとなる“生存率”がある一定まで来ると下げ止まり、一度リピーターとなった顧客の購入単価は毎年向上することだろう。2008年に初めて購入したというセグメント全体の金額は、10年後には2008年に購入した2.2倍も購入しているという。

米島氏は「BtoBのサービスでは、“適切な購入先になる”と継続利用される可能性が高く、その場合継続的に購入金額が増える。結果として新しいお客様を獲得するための莫大なコストをかけ続ける必要がなく、成長の軌道に乗せることが可能」と語り、「“適切な購入先になる”ためにはデータの活用によってお客様の必要とするものがきちんと見つかる環境づくりが重要となり、必然的にビジネス全体がDX(デジタル・トランスフォーメーション)を意識したものになる」と分析する。
それでは、モノタロウが目指すDXによるサービス戦略とはどのようなものなのか。その原点と施策を振り返るにあたり、米島氏は創業時に遡って解説した。
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伊藤真美(イトウ マミ)
フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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