データ分析の成否を決める、分析基盤導入前の「データマネジメント」
冒頭、櫻井氏は「地味ですが」と前置きしながら、「データを利活用するためには、マスタ統合や分析基盤をつくる”前にすること”がある」と語る。
その櫻井氏が所属するリアライズは、データマネジメントを通じて顧客企業の情報活用を実現することを企業命題としており、現状データの調査から方針策定のコンサルティング、データの構築から運用までをワンストップで提供している。特にコンサルティングで策定した方針を実現するためのデータ構築がシームレスにできること、そして「データを使い続けていくこと」を意識したデータ運用までできることが強みだ。
対象はデータが関わるあらゆるシステムとなり、顧客企業も自動車メーカーから通販、銀行など幅広く、テーマや課題も様々だ。特に「データマネジメント」を中心に、具体的には様々なデータを統合する「マスタ統合」や活用するための「データ品質」、それらのデータを守っていく「組織」などについて課題解決ニーズが高まっているという。
16年で800件以上のプロジェクトに取り組む中で、特に近年はビッグデータの流行もあってか、大規模な情報分析基盤を導入した後になってデータ品質や分析に悩む企業も少なくないという。しかし、基盤に予算を費やした後であり、なかなか改善が難しいというのが実情だ。
そうならないために「データ活用は、どこから手をつけると効果が上がるのか」。その答えの一つとして櫻井氏は「データマネジメント」の重要性を強調し、「データに直接向かい合うことが大切」と語る。その中で誤解が生じがちなものの一つが「業務データと分析データの混同」だ。
業務用データは人が使うものであり、分析のためのデータは「有限な状態への分類」か「数値の大小」に限られる。つまり、名前やフリーテキストはそのままでは分析できない。分析用データに加工するノウハウがなければ、宝の持ち腐れというわけだ。
そうした誤解や思い込み、いい加減さなどが積み重なり、社内には使えないデータが山ほどある。それを整備しないまま、分析基盤だけ入れてもうまくいかないのは火を見るより明らかといえるだろう。