Azure SQL Databaseの概要と運用に役立つTipsを紹介
10分間の休憩の後、次の「Azure SQL Database概要」講義が始まった。Azure SQL DatabaseとはMicrosoft Azure上で稼働するSQL Serverである。
まず、小澤氏はAzure仮想マシン[2]上で稼働する「SQL Server Azure VM」とAzure SQL Databaseとの違いを明らかにした。取り上げたのは、データベースの最大サイズ、基本的なスケーリング方法、更新プログラムの運用である。例えば、データベースの最大サイズは、Azure SQL Databaseでは4TBと決まっている一方、SQL Server Azure VMでは仮想マシンの接続可能なディスクの本数によって異なる。基本的なスケーリング方法もAzure SQL DatabaseとSQL Server Azure VMとでは異なるといい、前者はエディションや価格レベルを変更することで行うが、後者はサイズを変更することで行う。
運用のTipsやコツも教えてくれた。テストで利用したいAzure SQL Databaseは、サービスレベルとして「PremiumRS」(最高レベルの可用性の保証を必要としないI/O集中型のワークロード向け)を選ぶと、利用料金を抑えられるのだという。さらに、エディション(サービスプラン)を選ぶ際には、「性能だけでなく、最大セッション数も考慮して選んでもらいたい」とのことであった。
特に覚えてほしいと注意を促されたのは、Azure SQL Databaseの「更新プログラム」である。
「Azure SQL Databaseでは更新が自動で走るため、常に最新の状態となり、新しい機能をいち早く使用できる一方、データベースサーバーを特定のバージョン(状態)にロックすることはできない。SQL Databaseではデータベース単位で『データベースの互換性レベル』を設定することができるため、バージョンアップによってSQLが影響を受けることはないが、『データベースサーバーについては構築時のバージョンに固定しておく必要がある』というような、要件がある場合には注意しておいてもらいたい」(小澤氏)
なお、SQL Serverの主要機能のうち、Azure SQL DatabaseではWindows認証やUSEステートメントなどをサポートしていない。その一方で、Elastic Database Poolによるリソース共有など、SQL Serverにはない機能を提供している。「柔軟な構成をとれることが、Azure SQL Database最大の強み」と小澤氏は言い切った。
この講義の中ではもう1つ、「Azure SQL Data Warehouse」についても説明があった。Azure SQL Data Warehouseはクラウドベースの並列分散データウェアハウス。「60の非共有ストレージが作成されており、数値上は最大240TBのデータベースサイズ(圧縮してデータを格納することで、実際には240TB以上のデータを格納することが可能)を持つデータウェアハウスが実現する」(小澤氏)のだという。また、Azure SQL Data Warehouseは価格設定もユーザーにとって使いやすいように配慮されている。例えば、コンピューティングとストレージで別々に課金される、使用中のスケールアップ/ダウンが可能、一時停止ができるといったことだ。
Azure SQL Data Warehouseに関してはそのほか、「PolyBase」という高速なデータロード手法が紹介された。
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注
[2]: Azure仮想マシン(Azure Virtual Machine)はマイクロソフトが提供するIaaS。単にMicrosoft Azureという場合はPaaSである。