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システム担当者のための今さら聞けないストレージ再入門

ストレージの主役、ディスク装置~ディスクの構造とその発展(1)

第1回


 日頃、システム開発や運用に従事するソフトウェアに詳しいエンジニアも、ストレージに関する知識は意外とうろ覚えなままでいることも多いかもしれない。この連載では、システムに関わる者であれば押さえておきたい「ストレージの知識」を、最新の状況も踏まえ、雑学も楽しみながら身につけられるようにする予定だ。  今回は、その歴史的発展をなぞりながらディスクの構造や種類について解説する。

改めて学ぶ正しい「ストレージの知識」

 「ストレージ」という言葉は元々「倉庫」という英語から借用してコンピュータの世界で利用されるようになった言葉である。コンピュータを使う全てのユーザーにとって財産となるデータを保管するディスク装置やテープ装置などのストレージは、今日のコンピュータ・システムには無くてはならないコンポーネントの1つだ。この解説コラムでは、コンピュータのことはそれなりに知ってはいるが、ストレージに関する知識はそういえばあまり勉強したことが無いという方々を対象に、知識の幅を広げていただく一環としてストレージの知識も習得していただこうと考え、連載解説を行なっていくものである。

 何はともあれ、まずはストレージの代表格であるディスク装置に関して触れていきたいと思う。今日のコンピュータにおいて、膨大なデータをコンパクトに収容でき、かつ、簡単に利用できるディスク装置は、パソコンであろうが大型ホスト・サーバーであろうが無くてはならないものになっている。物事には常に最初があるものなので、手始めに世界最初のディスク装置についてご紹介をしたい。

世界最初ディスク装置、IBM 305 RAMAC

 世界で初めてのディスク装置はIBM社が開発した「IBM 305 RAMAC」である(図1-1)。

図1-1 IBM 305 RAMAC
図1-1 IBM 305 RAMAC

 「RAMAC」と書いて「ラマック」と読む。この製品が発表されたのが1956年9月のことなので、2006年9月にディスク装置は生誕してから満50歳を迎えていることになる。写真で大きさを実感することは困難であろうが、その大きさは一声で言うと家庭用の大型冷蔵庫を2台並べたくらいの大きさだ。この中に今で言う「HDD(ハード・ディスク・ドライブ)」が1つ入っているような感じの代物だ。気になる容量はたったの5MBであった。2007年8月現在、3.5インチのSATA HDDであれば、家庭用VTRのカセットより少し小さい大きさで750GBもの容量を収容できるため、技術の進歩は凄まじいものだと実感できるであろう。ディスクの直径は24インチ(約60cm)もあり、乗用車のタイヤくらいの大きさであるとイメージしていただければよいであろう。これも現在一番ポピュラーに利用されているHDDのディスク直径サイズである3.5インチ(約9cm)と比較すると非常に大きいものである。ディスクの回転スピードは1分間に1200回転であった。最新のHDDでは1分間に15000回転するので、これも今から思えばのんびりと回っていたといえる。

 ディスクの枚数はその箱の大きさからもお判りの通り1枚ではない。IBM 305 RAMACではなんと24インチのディスクを51枚も重ねて1つのディスクとして利用していたのである。しつこいようだが60cmの鉄の円盤を51枚も重ねて並べ、これをモーターでグルグル回し、記録できた容量は結局5MBだったのだ。それでも現在、コンビニのATMでお金が下ろせるのも、インターネットで欲しい情報がすぐみられるのも、電車の自動改札で切符がスッと通るのも、全てデータをランダムにアクセスできることを実現したディスクのおかげなので、そう考えるとこの稚拙な1歩は輝かしい1歩であったことには違いはない。

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ハードディスクの構造を知ろう

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この記事の著者

佐野 正和(サノ マサカズ)

1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、...

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