<つなぐ>から星座へ、社名と製品ブランドを統合
「アステリアとは星座の意味。これまでシステム、データ、人をつなぐことをテーマにしてきたが、今後さらに広げ、輝く星をつないでいく企業となりたい」── 新生アステリアの平野社長は、10月2日におこなわれた発表会でこう語る。
もともとXML専業ベンダーから出発した旧社名インフォテリアは、創業から20年、エンタープライズITの世界では知名度も高い。「アステリア」もまた同社の主力製品の名前として認知されてきた。
そのインフォテリアが、今あえて主力製品「アステリア」の名前を新社名に据える。ブランドを統合し、さらに次のステップに飛躍するための事業拡大をめざしているのだろう。その第一弾のリリースが、今回のAI/IoT製品「新Gravio」だ。旧インフォテリアはここ数年は、「4つのD」戦略を掲げ、データ連携ツールの「Asteria」(データ)、モバイルデバイス「Handbook」(デバイス)をはじめ、デザイン思考を目的とした英国企業の買収(デザイン)、ブロックチェーン技術への取り組みと協会の設立(ディセンタライズ)などを推進してきた。
今回製品とともに発表された「エッジウェア」は、同社の製品だけではなく、業界全体に提唱したいコンセプトなのだと平野社長は言う。
進化するAI/IoTのための「エッジウェア」
AIや機械学習によるデータ分析から、ビジネスの価値を生み出すという考えは、ここ数年すっかり定着してきた。各種デバイスのセンサーデータや顧客データなどのビッグデータ分析が、ビジネス価値を生む。しかし、データ分析をどのレイヤー(層)で行なうかは、ビジネスモデルによって大きく異なる。すべてのデータをクラウドベースのサーバーに集中させ、分析する手法が適切でないケースも存在する。
たとえば、直近の例で言えば、iPhoneの最新機種がそうであるように、端末側のチップセットで顔認証や様々なAI機能を実装するケースがある。それによって、アナリティクスのためのデータのサーバ送信の処理速度の問題や、プライバシーの問題を解消できる。データを第三者が運営するクラウドに送信する必要がなく、プライバシー問題もクリアできる。こうした背景から、データ分析をクラウドやデータセンターではなく、データが発生する機械に近い場所でおこなう「エッジコンピューティング」が、最近では注目されている。
アステリアの提唱する「エッジウェア」は、こうしたエッジコンピューティングとは少し違う。エッジ側のデバイスには必ずしも高度なインテリジェンスは必要ない。データ通信によって送るのではなく、ユーザー側のソフトウェアで分析からデバイス制御までの処理と行なう。「IoTデバイス+ミドルウェア」という組み合わせで、分析のケイパビリティを増進させていくというものだ。その中核となるのが、今回発表された新Gravioである。