この原稿は2020年12月に書いている。新型コロナに翻弄されたこの1年を、果たして誰が予測できたか? 2021年はどんな年になるのか? ワクチンは有効に機能するのか? 「昔、コロナってのがあってさ」と遠い目をする時代は来るか? そんなことは、引き続き誰も予測できない。 私の勤めるコンサルティングファーム、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(以下、ケンブリッジ)は、2020年2月にはすべての業務をコロナシフトし、今なお、先々の予測不能さを了解し、全社員が弾力的に業務を続けている。幸い今のところ、お客様との困難な業務改革プロジェクトの現場も、社員を支える各部署も、会社の売上も大きな影響を受けていないし、比較的「うまくいってる」方なのだろうと思う。 私の所属するマーケティング組織も同様だ。うまくいってる。むしろコロナ前より格段に良くなった部分が多い。 なぜ、うまくいっているのか? それは「スーパープレイヤー」に頼ってないからだ。
予測不能な時代の「うまくいってる」は平時と違う
大きなイレギュラーなく、毎日、毎月、毎年、同じサイクルで仕事をコツコツとし続ければ万事うまくいく世の中でなくなったことは、誰もが今回のコロナ騒動で痛感した。
また、「先々のリスクを予測し、事前に打てる手を打っておく」ことはもちろん必要だが、完全にやりきることはできず、予測を上回る事態は起こってしまうのだ、ということもわかった。
こうしたことから、予測不能な時代における「うまくいってる」感は、平時のそれとは大きく異なる。今回のコロナのような「予測もしなかったような重篤な事態」に見舞われた時に、それまでうまくいっていた過去にしがみつくことなく、その事態を乗り換えられる形に変容すること。それを、予測不能な事態が起こるごとに大慌てせずに「さて、変えますかね」と淡々とやりきること。これらが予測不能な時代における「うまくいってる」感ではないだろうか。
具体的に言えば、以下のようなことが予測不能な時代に「うまくいってる」ための必要条件となる。
- それまでの仕事のやり方を、必要なら組織構造や評価の仕組みも含めてサッと見直し、かつ、刻々と変わる状況に応じて調整し続けられる
- 仕事に必要な環境や道具を、これまたサッと見繕ってバリバリと使いこなし、かつ、見直し続けられる(合わなくなったり不要になったりしたらすぐに乗り換える)
大切なのは、前のめりに変容し続けなければならない主語が「組織」である、ということだ。決して、個人が有事に対して各々の努力でなんとかやりくりすることで、結果として組織が「運よく沈まずに済む」ということではない。個人の努力に頼っていては、組織である意味がない。そんなことを続けていると、何度目かの予測不能な事態が訪れた際、個人の疲弊とともに、組織は崩壊するだろう。そうではなく、組織に所属する全員が、それまでの仕事のやり方を捨てることに固執せず、新しい外的環境に適応するにはどうすればいいか知恵を出し合い、全員が納得する方針を固め、全員がその方針に従って前へ進んでいくことが重要なのだ。