HeatWaveインスタンスの作成
HeatWaveインスタンスは実体としては1台のMySQLサーバーノードと分析処理を行うインメモリのデータストアである複数のHeatWaveノードで構成されるHeatWaveクラスタが連動しています。この構成全体をマニュアルなどでは"Oracle MySQL Database Service with HeatWave"と表現しており、ここでは単にHeatWaveと表記した場合にはこの構成全体を指します。
インスタンス作成の手順はまずMySQLサーバーノードを作成し、その後HeatWaveノードを追加します。HeatWaveインスタンスの作成に必要となる前提条件は基本的にOracle MySQL Database Serviceと同じです。設定については第2回をご確認ください。
- VCN(仮想クラウド・ネットワーク)の作成
- ポリシーの設定
すでにOracle MySQL Database Service用に上記の設定を済ませている前提でインスタンスの作成に進みます。
インスタンス作成のためにはOracle Cloud Infrastructure(OCI)のWebコンソールの画面左側のメニューから[MySQL]->[DBシステム]を選択し、[MySQL DBシステムの作成]ボタンを押します。コンパートメントの選択と任意の名前を設定を、構成を選択します。原稿執筆時点では高可用性構成とHeatWave構成は排他になっています。
HeatWaveのインスタンスの際にポイントとなるのがシェイプの選択です。HeatWaveインスタンス内のMySQLサーバーノードには専用のシェイプ(シェイプ名: MySQL Database for HeatWave-Standard-E3)が用意されており、これ以外のシェイプで作成されたOracle MySQL Database ServiceインスタンスにはHeatWaveクラスタを追加することはできません。構成を選択する段階でHeatWaveを選択すると、専用のシェイプのみがシェイプの選択画面に表示されます。原稿執筆時点ではHeatWave専用のシェイプは1種類のみとなっています。
表 Oracle MySQL Database ServiceとHeatWaveのシェイプの比較
Oracle MySQL Database Serviceのシェイプ名 | HeatWaveのシェイプ名 |
---|---|
MySQL.VM.Standard.E3.1.8GB | MySQL Database for HeatWave-Standard-E3 |
MySQL.VM.Standard.E3.1.16GB | |
MySQL.VM.Standard.E3.2.32GB | |
MySQL.VM.Standard.E3.4.64GB | |
MySQL.VM.Standard.E3.8.128GB | |
MySQL.VM.Standard.E3.16.256GB | |
MySQL.VM.Standard.E3.24.384GB | |
MySQL.VM.Standard.E3.32.512GB | |
MySQL.VM.Standard.E3.48.768GB | |
MySQL.VM.Standard.E3.64.1024GB |
Oracle MySQL Database ServiceのシェイプとHeatWave専用のシェイプとの違いは課金体系にもあります。前者はCPU数とメモリサイズに応じた時間単位の課金ですが、後者はノード数での時間単位の課金となっています。
HeatWaveインスタンスでのデータの永続化はMySQLサーバーノードのInnoDBストレージエンジンが担当します。このためMySQLサーバーノードの作成時のストレージサイズは実際に格納されるデータのサイズを元にInnoDBストレージエンジンが使用する量を設定します。後ほどベンチマークテストを行うためのテストデータをロードするために、500GB程度に設定しておいて下さい。
ユーザー名やパスワード、バックアップの設定は任意でかまいません。[作成]ボタンを押すとOracle MySQL Database Serviceのインスタンス作成時と同じようにMySQLサーバーノードの作成が始まります。アイコンが緑色になりアクティブの表示になればMySQLサーバーノードの作成が完了し起動している状態となります。