SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

北川裕康のエンタープライズIT意見帳

プラットフォームのビジネスモデルの変遷を辿る:共通項はアプリケーションからの進化

 ITプラットフォームというビジネスモデルは、現在は第3次にあると思えます。以前から「第3のプラットフォーム」について言及しているIDC Japanによると、2022年の国内の第3のプラットフォーム市場の市場規模(支出額ベース)は、20兆2,479億円、前年比成長率は4.3%と予測しています。どデカいです。今回は、このビジネスモデルの変遷と、「プラットフォーマー」と呼ばれる各社の動向について考えてみます。

第1次から第3次まで、プラットフォームは何が変わったのか

 IDC Japanによると、「『第3のプラットフォーム市場』には、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術の4つの主要技術(4ピラー)から構成される技術プラットフォームと、4ピラー上に展開され事業成長を促進する技術となる『イノベーションアクセラレーターとしてIDCが定義する、AI、AR/VR、IoT、ロボティクス、3Dプリンティング、次世代セキュリティ、ブロックチェーンの7つの技術のうち、従来のICT市場に該当するハードウェア、ソフトウェア、サービス、通信サービスが含まれます」[※1]とのことです。

[※1] IDC 最新の国内第3のプラットフォーム市場予測を発表

 ITの世界で使われる「プラットフォーム」の歴史は古く、起源は、古代ローマの公設市場やイスラムの常設市場のバザールといった「モノの交換の場」といわれます。今回は、そこまでは遡らず、すでに60年以上経つITのプラットフォームの歴史を振り返りながら、現在のプラットフォームの特長などを解説します。私のIT業界でのキャリアは、ある意味、プラットフォームビジネスモデルの進化に沿っている気がします。

 「第1次プラットフォーム」は、80 - 90年代のハードウェアの時代です。メインフレームやミニコンのコンピュータのハードウェアを基盤に、そのプラットフォームに対応したソフトウェアやディスク装置などのハードウェアが主役でした。稼働するOSは、UNIXを除き、特定のハードウェアに密接に紐づいていました。私が最初に触れたコンピュータは、富士通のメインフレームである「Mシリーズ」でして、その上でOSのMSPなどオール富士通でした。当時、メインフレームであっても、一部、データベース管理システムのADABASや統計ソフトのSASのように、サードパーティーのソフトウェアが利用されていました。我々世代には懐かしいですね。すべて専用品なので、値段は高く、扱いも難しかったです。垂直統合とも言われていました。

 「第2次プラットフォーム」は、PCの時代です。MS-DOSから始まり、Windowsが代表になり、それらのOSをプラットフォームの中心に、基盤となるハードウェア、OS上で動作するソフトウェアで構成された時代です。ここで、一気にプラットフォームのビジネスモデルがIT業界で開花しました。水平統合とも言われていました。様々なベンダーや開発者が参入することで、エコシステムという言葉も使われ出しました。私がマイクロソフトに入ったときは、1993年のWindows 3.1のリリース直後でして、UNIXやミニコンに慣れた私には、とても気持ち悪いOSだと感じたものです。

 マイクロソフトのすごいところは、色々と批判もされましたが、プラットフォームを代表するExcelやWordなどのアプリケーションを自社で提供して、プラットフォームの世界を牽引したことです。また、開発者が鍵だと認識して、Win 32に代表されるAPIを積極的に公開して、開発環境を整備して、開発者のエンゲージメントに尽力しました。バザールのように色々な品揃えがあってこそ、魅力的に市場になるのです。

次のページ
Windowsがプラットフォームによる市場制覇を教えた

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
北川裕康のエンタープライズIT意見帳連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

北川裕康(キタガワヒロヤス)

35年以上にわたり B2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workday、Inforなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションなどで執行役員などの要職を歴任。現職は、クラウドERPベンダーのIFSでマーケティングディレクター。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/16138 2022/07/08 10:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング