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プラットフォームのビジネスモデルの変遷を辿る:共通項はアプリケーションからの進化

 ITプラットフォームというビジネスモデルは、現在は第3次にあると思えます。以前から「第3のプラットフォーム」について言及しているIDC Japanによると、2022年の国内の第3のプラットフォーム市場の市場規模(支出額ベース)は、20兆2,479億円、前年比成長率は4.3%と予測しています。どデカいです。今回は、このビジネスモデルの変遷と、「プラットフォーマー」と呼ばれる各社の動向について考えてみます。

第1次から第3次まで、プラットフォームは何が変わったのか

 IDC Japanによると、「『第3のプラットフォーム市場』には、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術の4つの主要技術(4ピラー)から構成される技術プラットフォームと、4ピラー上に展開され事業成長を促進する技術となる『イノベーションアクセラレーターとしてIDCが定義する、AI、AR/VR、IoT、ロボティクス、3Dプリンティング、次世代セキュリティ、ブロックチェーンの7つの技術のうち、従来のICT市場に該当するハードウェア、ソフトウェア、サービス、通信サービスが含まれます」[※1]とのことです。

[※1] IDC 最新の国内第3のプラットフォーム市場予測を発表

 ITの世界で使われる「プラットフォーム」の歴史は古く、起源は、古代ローマの公設市場やイスラムの常設市場のバザールといった「モノの交換の場」といわれます。今回は、そこまでは遡らず、すでに60年以上経つITのプラットフォームの歴史を振り返りながら、現在のプラットフォームの特長などを解説します。私のIT業界でのキャリアは、ある意味、プラットフォームビジネスモデルの進化に沿っている気がします。

 「第1次プラットフォーム」は、80 - 90年代のハードウェアの時代です。メインフレームやミニコンのコンピュータのハードウェアを基盤に、そのプラットフォームに対応したソフトウェアやディスク装置などのハードウェアが主役でした。稼働するOSは、UNIXを除き、特定のハードウェアに密接に紐づいていました。私が最初に触れたコンピュータは、富士通のメインフレームである「Mシリーズ」でして、その上でOSのMSPなどオール富士通でした。当時、メインフレームであっても、一部、データベース管理システムのADABASや統計ソフトのSASのように、サードパーティーのソフトウェアが利用されていました。我々世代には懐かしいですね。すべて専用品なので、値段は高く、扱いも難しかったです。垂直統合とも言われていました。

 「第2次プラットフォーム」は、PCの時代です。MS-DOSから始まり、Windowsが代表になり、それらのOSをプラットフォームの中心に、基盤となるハードウェア、OS上で動作するソフトウェアで構成された時代です。ここで、一気にプラットフォームのビジネスモデルがIT業界で開花しました。水平統合とも言われていました。様々なベンダーや開発者が参入することで、エコシステムという言葉も使われ出しました。私がマイクロソフトに入ったときは、1993年のWindows 3.1のリリース直後でして、UNIXやミニコンに慣れた私には、とても気持ち悪いOSだと感じたものです。

 マイクロソフトのすごいところは、色々と批判もされましたが、プラットフォームを代表するExcelやWordなどのアプリケーションを自社で提供して、プラットフォームの世界を牽引したことです。また、開発者が鍵だと認識して、Win 32に代表されるAPIを積極的に公開して、開発環境を整備して、開発者のエンゲージメントに尽力しました。バザールのように色々な品揃えがあってこそ、魅力的に市場になるのです。

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Windowsがプラットフォームによる市場制覇を教えた

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北川裕康(キタガワヒロヤス)

35年以上にわたり B2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workday、Inforなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションなどで執行役員などの要職を歴任。現職は、クラウドERPベンダーのIFSでマーケティングディレクター。...

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