Salesforce.comの創業時から続く社会貢献活動
Dreamforce 2009の3つ目のキーノートセッションは、同社のもう1つの重要な顔である社会貢献活動を紹介する話から始まった。Salesforce.comには、就業時間の1%、株式の1%、製品の1%を社会貢献活動に還元するという独自の素晴らしい仕組みを持っている。
今回、その一貫として、UCSF Medical Centerで新たに小児病院を建設するに当たり、Salesforce.com Foundationから200万ドルの寄付が行われた。この大学医療機関には、米国内はもちろん、世界中から子どもたちが治療を受けに来ることになる。UCSFは、高度な技術を持った医療機関であると同時に、研究機関でもあり医師をトレーニングする場でもあり、極めて重要な場になるとベニオフ氏は言う。
1%モデルは、企業としての成功を収めてから始めたことではない。創業時からこの仕組みで社会に貢献してきたのがSalesforce.comという企業だ。「モデルを作って会社を始めた当時は、社会貢献は別に難しいことではなかった。その頃はお金もあまりなかったし、人も少なかったから」とベニオフ氏は謙遜するが、創業時からこういった理念を持ってそれをやり続けているというのは立派なことだ。この1%モデルは、共感したGoogleでも採用されている。
1%モデルを思いつくきっかけは、前職のOracleに所属していた際に参加したカンファレンスだったという。名だたる企業のCEOなどが集まり、企業にはボランティアをする義務があり、よいメンター(指導者)である義務があるという話を聞いた。
このカンファレンスに参加していたのが、元国務長官のコリン・パウエル氏だった。ベニオフ氏は、人生でもっとも影響を受けた人物として、コリン・パウエル氏をステージに呼ぶと、会場はスタンディングオベーションで彼を迎え入れたのだった。