「4つの“AIエージェント”」がビジネスプロセスそのものを変える
“次世代AI”としてWorkdayが今回発表したAIモデル「Illuminate」。これまで手作業で行われてきた業務を効率化し、ビジネスプロセス全体を変革するものだという。「単一の機能にとどまらず、Workdayのプラットフォーム全体に影響を与えるAIモデル」だとファム氏は説明する。効率的な検索や書類などのコンテンツ生成だけでなく、書類の異常を検知したり、文書を自動スキャンしたりといった機能も備えているとのことだ。
さらに今回のRisingで発表されたのが、AIエージェントだ。全部で4つあり、それぞれ「Recruiter(採用)」「Expenses(経費)」「Succession(後継者育成)」「Optimize(最適化)」の業務をつかさどっている。
- Recruiter:職務記述書の作成、候補者のソーシング、面接の日程調整などといった作業を自動化。AIによる人材紹介も可能
- Expenses:経費報告書の作成から提出、承認までを自動化。レシートをアップロードすると、クレジットカード決済の情報と照合され、自動で経費明細を作成
- Succession:後継者育成プロセスを自動化。組織内でリーダーの素質がある人材を特定・推薦し、パーソナライズされた育成計画を作成
- Optimize:ユーザーのビジネスプロセスにおける、ボトルネックや非効率性の原因を特定。非効率なタスク遂行や、順序を逸脱したステップなどを発見すると、自動でフラグを立てて修正を促す
なかでも、採用担当者のプロセスを支援するRecruiterには、Workdayが2024年の序盤に買収したHiredScoreの技術がさっそく活かされている。たとえば、採用担当者が特定の役職に最適な候補者を探す際、過去に応募して不採用となった候補者や、将来応募する可能性のある候補者、さらには既に社内に存在する候補者を見つけ出すことができる。そして、職務記述書に基づいてAIアルゴリズムが各候補者を評価し、これまで見逃していた潜在的な候補者を発見するのだという。
「HiredScoreは、手作業が当たり前だった候補者の選定プロセスを自動化し、人や組織の力だけでは獲得し得なかった能力を補完しました」(ファム氏)
AIシステムの構築に必要な“すべて”を提供する
多くの企業が、AI活用のためのデータパイプラインやインフラの構築に苦労している。新たに実装されたIlluminateは、この課題を解決するとファム氏。このAIモデルは、候補者の評価や職務記述書の作成などをサポートするだけでなく、働き方全体を支援する多段階のプロセスを結合する、エンドツーエンドの設計となっている。加えて、Workdayのユーザーは開発プラットフォーム「Workday Extend」を利用することで、各業務の現場に合わせた独自のアプリケーションを構築・拡張できる。
「私たちは創業以来、統一されたデータモデルを導入し、データをクリーンに保ち、適切に整理してきました。これにより、お客様は自分でデータモデルを管理する必要がなく、プライバシー、セキュリティ、コンプライアンスといったデータ処理の複雑な問題を解決する手間も省けます。Workdayがインフラ全体を管理し、AIシステムの構築に必要なすべてを提供しているからです」(ファム氏)