日本特有のニーズにも対応可能に 企業自身はどう変革に臨むか
──日本企業の場合、現場でのデジタル・AI活用の浸透は、多くの場合チームや部門ごとにボトムアップやミドルアップダウンで進められます。そこで、各部門ごとに、あるいはユーザーごとに独自のアプリケーションを構築できるツールが非常に重要になるのではと考えています。たとえば、「Workday Extend(以下、Extend)」のAI Gateway機能のような。
ソヒジャン氏:たしかに、そのような環境下では特に有効な機能になるでしょうね。Extendの場合、ユーザーが技術者であるかどうかに関係なく、ドラッグ&ドロップによって誰でも簡単に独自のソリューションを構築できるプラットフォームを心掛けています。日本独自の産業やニーズにも対応できます。
日本企業の文化や体質、産業構造は、欧米とは事情が異なります。それは間違いありません。そして、特有の要件を持っているということは、それに応じたソリューションが必要になります。そこで、Workdayの「Built on Workday(直訳:Workdayで構築)」が活きてきます。
Built on Workdayの強みは、我々だけでなくユーザー(パートナー)とともにソリューションを構築していける点にあります。従来であれば、Workdayが日本独自の産業やニーズに対応しようと開発に熱を注いでも、それが他の国・地域にとっては価値のない機能になってしまう恐れがありました。
しかし今日、皆さんはBuilt on Workdayによって、日本企業に特化したアプリを自分たちで作り、提供できるようになりました。これにより、Workdayがすべてのニーズを直接満たす必要がなくなったのです。AI Gatewayは、その一部を支援する機能だといえるでしょう。
──国や地域だけでなく、部門や各拠点ごとにもニーズや事情は異なってきますよね。
ソヒジャン氏:はい。それぞれの部門が異なるオペレーションを展開するだけでなく、拠点を置く地域ごとにも異なるプロセスが必要だということは、まったくその通りです。
そのため、Workdayもチームごとに異なるプロセスを持たせることが可能な設計になっています。ただし、我々が推奨するのは「一貫性のある、あるいは類似したプロセス」です。これは日本市場に限らず、どの市場でも課題ではありますが。
Workdayを導入する際には、企業が「変革の準備をしている」ことが重要です。特に、伝統的な日本企業が従来のプロセスをそのままクラウドに移行しようと試みても、十分な価値を得ることはできません。重要なのは、「現状を改善したい」という強い意志を持ち、変革を求める姿勢です。「すべてを従来と同じまま移行する」という発想では、変革とはいえません。
──WorkdayのCTOとして、EnterpriseZine読者へメッセージをお願いします。
ソヒジャン氏:「変革」とは難しいものです。しかし日本企業には、人々の働き方や仕事の在り方を変え、これから革新的になれるポテンシャルを大いに感じています。
日本企業には、既に素晴らしい技術力や製品力が備わっています。これまでも、様々な産業において日本企業は技術をリードしてきました。あとは、ここにイノベーションのエッセンスを加えるだけです。
Workdayは、従業員を理解し、動機づけ、昇進させる新たなリーダーシップやキャリア構築の機会を提供します。それが、イノベーションを推進する鍵となるでしょう。ただし、あくまでも重要なのは「適切なシステムを導入する」こと、そして「全員が変革で目指す姿を理解している」ことです。そして変革に挑むのは、その企業自身です。Workdayは、そんな変革の旅路で直面する困難を和らげ、役に立てる存在であることを自負しています。