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創業50年を迎えたハウスメイトは「賃貸業務を30%圧縮」──紙が残る不動産業界でのデジタル化を推進中

ツール導入で終わらない、“定着”するデジタル化へ

700名規模のオンボーディング わずか2人の主導で実現

 デジタル化を推進するにあたり、最も重視したのは「社員全員が使う」体制の構築だった。これまでハウスメイトでは、デジタルツールを導入したものの活用されない、という課題に直面してきたこともあり、まずは導入プロセスの抜本的な見直しに着手している。

 これまではツール導入前に、まず操作説明会を開き、その後実際に触ってもらった上で全社展開していくような流れだったが、「使い方がイマイチわからない」「現場が独自ルールを作ってしまう」「結局使う人と使わない人に差が出てしまう」という声も上がってくる状況だった。

 そこで、新たな導入プロセスでは、はじめにツールの導入にあたっての注意点や操作手順をまとめた動画を提供、その後(ツールの恩恵を感じられるような)具体的な操作項目を用意した上で体験してもらい、説明会を経てツールを展開するように改善。梅津氏自ら動画やチェックリストなどを作成しており、「具体的に注意すべきポイント、操作項目を共有するなど、説明会参加時には全員が一定のレベルまで理解できているように工夫しています」と語る。これにより説明会では操作方法でなく、より具体的な注意点を解説するなど、業務に沿ったノウハウを共有できるようになった。

 導入プロセスの見直しから着手したことで、担当者約700名への展開を(さまざまな関係者はいながらも)わずか2人による主導で実現。梅津氏は「導入開始後は追加質問も少なく、利用事項を周知することで独自ルールも生まれない形で運用できています」と成果を語る。

 こうした改善を踏まえた上で、デジタル化を推進する対象としたのが、問い合わせから契約締結を含めた、一連の“賃貸仲介”プロセスだ。具体的には反響対応、来店調整、来店対応、案内対応から始まり、申込手続、申込対応、保証会社審査、契約者情報の入力といった申込・契約準備段階を経て、最終的な契約書作成、契約説明、契約後諸処理に至るまでの全工程が含まれる。

 これらの業務について、「いわば根性論のように業務を遂行する場面もありました」と梅津氏。「とにかく早く返信しよう、追客しよう」といった考え方が業務の中心にあったという。

 「特に、若いメンバーは根拠がないものにまったく納得しません。しっかりと理解でき、腑に落ちるような仕組みが必要です。逆に言えば、理解ができればフットワーク軽くやってくれます」(梅津氏)

 そこで導入したのは、データ分析の仕組みだ。前述したような根性論の世界だったところから、一転データに基づいた分析・アクションがとれるようになったことで指導方法も変化していったという。

 たとえば、「○分以内に返信しよう」「この顧客は、頻繁にこのページを閲覧しているから連絡しよう」「返信率が低いから返信文章を再考しよう」といった、“指標ベース”の指導が実現できるようになった。さらに「LINE登録率、来店率○%以上を目指そう」のように、具体的な行動目標も設定できるようになったという。

 梅津氏は「店舗スタッフに対しても、具体的な指示を出せるようになったことで、自分自身の業務に意義を感じられるようになり、従業員満足度の向上にもつながっていると思います」と効果の大きさを語る。

10年以上も課題だった「売上表」を統一

 もう一つ、梅津氏が大きな成果として挙げるのが、売上表の統一だ。従来の状況について梅津氏は、「店舗やエリアによって、売上を管理するためのテンプレートがバラバラでした。この店舗はExcel、こちらの店舗は別のツール……と全部違っていたのです」と話す。

 こうした課題は2011年頃から長らく抱えており、たとえば人事異動で別店舗に行くと、管理方法が異なるため戸惑ったり、新しいやり方に慣れるために時間を要したりと、従業員の負担も大きかった。

 売上表の統一という、長年にわたる課題を解決できたのは、やはりデータの整備と可視化にあった。2024年には東日本エリア全店舗で売上表を統一すると、現在は全国展開を完了している。梅津氏は「地味ですが、とても革命的なことです。(データを整備して、可視化のためのツールを導入することで)誰もできなかったことができた、大げさかもしれませんが、われわれにとっては大きな財産となりました」と話す。

 これにより誰でも全店舗の状況を見られる環境が整い、たとえば同期の活躍が見えたり、責任者が周りの店舗の状況を気にかけたりと、さまざまな効果も見えてきたという。

 他にも、梅津氏が所属する業務推進室が担う保証会社業務においては、データだけでやり取りを完結させるための仕組みを整備している。従来、紙で書いたものをFAXで送っていたところ、データ連携によって業務時間の短縮を実現。たとえば、保証会社に審査を依頼し、結果の回答までに早くても1時間かかっていたものが30分程度になった。

 この効果は保証会社側にも波及している。これまで紙で受け取った保証会社は、目視でデータを打ち込んでいたが、データを連携して必要書類を作成できるような状況となり、保証会社からも感謝の声をもらったという。梅津氏は「自社のデジタル化が他社に良い影響を与えていると知ったときは、すごくうれしかったですね」と語る。

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年間4万7000件の契約業務、1件あたり50分圧縮 「もう戻れない」効果と今後の展望

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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