動き出した国産大手各社のクラウド戦略。なかでもNECは、2008年から実行しているグローバルレベルでの経営改革の経験を、クラウド事業に導入している。ITの標準化とクラウドが、経営改革にいかに活かされているかをNECのサービスプラットフォームシステム開発本部グループマネージャの上野勝之氏に語っていただいた。
SaaS型、共同センタ型、個別対応型の3つのクラウド戦略を推進
― NECのクラウドの定義と特色についてお聞かせください。
クラウドについて様々な定義がありますが、「ネットワークを介して多様な端末からITを活用する」というシンプルな考え方をNECはとっています。
ポイントは「クラウドの中に標準化されたITがある」ことで、ここが従来のアウトソーシングと異なる点です。従来のアウトソーシングの場合、お客様が作り込まれたシステムをベンダーが預かり、運用代行をするハウジングやホスティングが一般的でした。一方、クラウドの場合はベンダー側が、形の決まった業務をサービスとして提供することで、コスト削減に加えてクラウドの特長であるスピーディな導入、柔軟性の向上といったあらたな価値を提供できるわけです。
NECでは企業向けクラウドの特徴を活用してサービス型で提供することを「クラウド指向」と呼んでいます。企業向けシステムのクラウド化を目的とするのではなく、TCO削減とスピードアップと柔軟性の向上を図ることを目的としています。

NECの取り組む企業向けクラウドは、グループウエアやSFAなどのフロント業務、会計・人事、生産・販売などのバックオフィス業務などの他、新しい領域としてデジタルサーネージ、RFIDなどの活用領域をクラウドサービスとして提供していく考えです。
クラウドは、「インターネット環境でシステムを共有」するパブリッククラウド、「イントラネット環境内でシステムを占有」するプライベートクラウドに大別されます。NECの企業向けクラウドサービスとしてはプライベートクラウドで要求される事項を満足できるようにSaaS型に加え、共同センタ型、個別対応型といったより柔軟性のあるサービス提供モデルも用意するという考え方です。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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