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今度のデータウェアハウスブームはアプライアンスが市場を活性化する!/マイクロソフトのDWH戦略

DB Online 2011 June Monthly Special


アプライアンスとしては後発のMicrosoftのチャレンジ

多くのベンダーがアプライアンス製品を市場投入するのは、それだけそこに顧客ニーズがあることの裏返しでもある。北川氏にMicrosoftとしてアプライアンスに対する顧客ニーズをどのように捉えているかを訊ねると、

  • 細かなデータベースチューニングなどをしなくても一定のパフォーマンスが出る
  • 顧客にアプライアンスのほうが高速だというイメージがある
  • 細かなデータベース設計が必要ないので導入も短期間で行える
  • アプライアンスというものの認知が上がり、選択肢の1つとして試してみたい

という4つのポイントを挙げてくれた。Microsoftとしては、こういったニーズがあるデータウェアハウス市場において、アプライアンス製品を持っていなければビジネスチャンスを逃すことになる。そのため、3月に製品を出したことには大きな意味があると言う。

データウェアハウス・アプライアンス製品としては後発となったMicrosoft、その優位性はどこにあるのか。

北川氏は、この4つの次に来るニーズが、コストだと指摘する。なのでMicrosoftでは、ハードウェア、ソフトウェア、さらには保守サービスまで含む費用を顧客に明示することとし、さらに「他社製品に比べ圧倒的に低価格に設定した」のだ。

他社製品に比べ圧倒的に低価格に設定されているというマイクロソフトのアプライアンス製品

「アプライアンス製品は、既存データウェアハウス環境を完全に置き換えるものです。そのため、値段と性能のバランスをきっちりと見極めようとする顧客が多い」(北川氏)

さらに、アプライアンスはSIが入る要素が少ないので、導入、開発費用もかなり小さくなる。そうなれば一層、製品の価格対性能をきっちりと比較されるとのことだ。

「ExadataやNeteeza、Teradataなどは、最小構成費用くらいは公開していますが、詳細な価格情報は明示していません。そういったことに対し、くさびを打ちたかった。ですから、アプライアンス製品の価格をMicrosoftはすべて明らかにしたかった。」(北川氏)

顧客は、アプライアンスにするとなれば、いままでより安くなるイメージを持っている。それに応えることのできる製品を提供したとのこと。価格を安く抑えられたのは、特別なデータウェアハウス専用ハードウェアを用意するのではなく、汎用的なインテルアーキテクチャのハードウェアを組み合わせているためだ。アプライアンス製品の多くは、専用のハードウェアを独自に用意することで、より高い性能を発揮させているものが多い。専用ハードウェアは、一般のサーバーに比べ市場に出る数が少ないので、当然ながらコスト削減は難しい。結果的にデータウェアハウス・アプライアンス製品は高価なものになってしまうのがこれまでの常識でもあった。

これに対し、汎用のサーバーを利用するのがMicrosoftの戦略だ。専用ハードウェアに性能的にかなわない面ももあるかもしれないが、逆に最新のインテルアーキテクチャのハードウェアを採用できるメリットもある。専用ハードウェアの場合、どうしても独自開発や検証の手間もあり、最新ハードウェア技術を採用することは難しい。タイミングによってはそのベンダーの最新アプライアンス製品であっても、CPUやバス周りの技術が一世代も二世代も前のものということさえある。

また、汎用ハードウェアの組合せなので、今回のHPとの協業だけでなく、他のサーバーベンダーとの協業も可能だ。近々に他社との協業によるデータウェアハウス・アプライアンス製品の提供も戦略には入っており、顧客の選択肢を増やすとのこと。「取り引き実績のあってすでに付き合いのあるベンダーから購入したい、という要望が顧客にはあります。汎用製品を組み合わせているので、そういった要望にも応えることができます」と北川氏は胸を張る。

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アプライアンスはOLTPの世界にもやってくる

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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