NoSQLなどの新顔も今後は要チェック
一方で、最近話題のNoSQL系の製品動向は、データベース市場に影響を与えるのだろうか。
「NoSQL系の製品が2011年の市場を拡大するというのは、まだあまりないと考えています。とはいえ、2011年できちんと種をまいておき、来年以降でそれをしっかり刈り取るのは重要だと思います」(赤城氏)
NoSQLに限らず、2011年はしっかりと種まきをする時期だと捉えられるかどうかで、その後の成否に大きな影響が出そうだ。現状のIT投資は、6割は基幹系、インフラ系、残り4割が情報系やデータウェアハウスへのものだ。これが今後は、だんだんと逆転してくるだろうと赤城氏は言う。そして、この逆転劇が起こる際に、NoSQL系のデータベースの市場も増えてくる可能性が高い。日本は保守的なので、この転換ペースはそれほど速くないかもしれないが、データベース市場に早晩変化が訪れるのは間違いないだろう。そして、NoSQL、さらには新たな存在のインメモリデータベースなどは、技術的な側面よりもそれらを活用できるアプリケーションがどのように提供されるかが鍵となるだろうと赤城氏は言う。
ところで今回データベース市場動向の話の中で、たびたび登場したのがアプライアンス製品の話題だった。すぐに導入して使いたいという要求は市場で高まっており、これに迅速に応えられるかは、ベンダーとして勝ち組になる条件の1つとなりそうだ。一方で、このアプライアンス製品はあらかじめベンダーによって最適化されており、ある意味設定などはブラックボックス化してしまう可能性もある。これは、ベンダーによる囲い込みを加速するかもしれない。そのような話をしていた際に「ブラックボックス化はある程度あってもいいし、必ずしも囲い込みというものは悪いものではない」と赤城氏は言う。
そもそもベンダーが囲い込みを実現するには、それ相応の製品ラインナップを揃え、それぞれの製品も市場で評価されている必要がある。現状なら「MicrosoftやOracle、そしてIBMくらいでないと難しいだろう」と赤城氏。その他の企業規模や技術力では、囲い込むだけの製品やサービスを提供できないのだ。囲い込まれることで、ユーザーはたしかに若干割高な買い物をすることになるかもしれない。しかし、そのぶんの安心や信頼性は得られる可能性も高い。
要は、気がついたらベンダーに囲い込まれていたというのではなく、自分の意思で製品やサービスを選択し結果的に囲い込まれる、という道を選ぶべきだということだ。ユーザーは自ら製品や技術力を選べるための、見極める「目」を持つことが大切だと赤城氏は指摘する。そのためには、ユーザーは常に間にSI企業を入れた状態でベンダーと会話するのではなく、自ら直接会話し主導権を握ることも重要となるだろう。