Java EE 6への対応で開発生産性が大幅に向上
Oracleは、今後新たに登場する製品のバージョンにCloudの"c"を付け"12c"としている。その最初の製品が、2011年にサンフランシスコで開催された年次イベントOracle OpenWorld 2011で発表されたOracle Enterprise Manager 12cだ。クラウドインフラを構成するハードウェアからデータベース、その上のミドルウェアまでをトータルで管理でき、利用したリソース量に応じた課金の仕組みなど、クラウドコンピューティング環境実現に必要となる管理機能も充実した。
そして、12cのバージョン番号が付いた2つ目の製品が、2月7日から出荷を開始するOracle Weblogic Server 12cだ。ご存じのように、これは2008年に買収したBEAの主力製品だったもの。買収時にはOracle Application Serverという競合アプリケーションサーバーもあったが、Oracleは既存製品を諦め買収したWeblogic Serverを選択、いまやOracle Fusion Middlewareの中核製品となっている。
今回Weblogic Server 12cは、同社が推進している"Cloud Application Foundation"の中核製品として改めてポジショニングし直されている。
「Cloud Application Foundationは、Oracle Fusion Middlewareをクラウドコンピューティング化するための基盤であり、Oracle ExalogicでもOracle Public Cloudでも活用されているもの」と語るのは、米OracleでWeblogic Server、Coherence、Java Infrastructureの製品を担当するシニアディレクターのマイケル・レーマン氏。
Weblogic Server 12cには、前バージョンから200を超える新機能が追加されている。その中でも注目すべきが最新のJava EE 6、Java SE 7への対応だ。Java EE 6 Full Profileに対応することで、「開発の生産性が大きく向上した」(レーマン氏)。Java EE 6では、APIの整理、簡素化、依存性注入技術の標準化などにより柔軟性の向上と軽量化が図られている。結果的に、開発時には従来よりJavaクラス数で25%、コード行数で50%、さらにXML行数に至っては80%の削減が可能とのこと。そういったJava EE 6を利用することでの開発生産性向上のメリットを、Weblogic Server 12cならすべて享受できる。
この他にも、12cでは細かいレベルで強化、拡張が図られている。たとえば、Weblogic Serverのインストールイメージのサイズは、ZIP圧縮された状態で11gでは318MBあったものが168MBへと大きく削減された。そして、インストーラーも不要で、ZIPファイルの展開だけでインストールは完了するとのこと。また、オープンソースのGlassFish上で開発されたアプリケーションを、Weblogic Server上に容易にデプロイする機能なども追加されている。
「アプリケーションをGlassFishから移行すれば、Weblogic ServerのQoS(Quality of Service)機能を利用できるなどのメリットがある」(レーマン氏)
さらに、Weblogic Mavenプラグインが拡張され、Java用プロジェクト管理ツールであるMavenの利用範囲の拡大やMavenの新機能のサポートも追加された。
「WeblogicだけでなくFusion Middlewareの他のミドルウェア向けの開発管理も可能となり、開発のライフサイクル管理がしやすくなった」(レーマン氏)