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クラウドの本質をひたすら追求していく―さくらインターネット社長 田中邦裕氏インタビュー


クラウドをベースにしたITサービスの輸出が日本経済復興のカギを握る

─ 今後、さくらのクラウドを発展させていくために、どのような戦略をお持ちでしょうか。

 価格の下落や性能要求のアップなど、市場からどのような要求があったとしてもすぐに応えられるように、インフラから始まってすべての要素を積み上げていき、企業として強靭な体力をつけなくてはいけません。その上で海外への展開、特に今はアジアでサーバー需要が増えてきていますから、アジア諸国におけるサーバーやデータセンターのニーズに応えていければと考えています。さくらのクラウドは、もともと多言語化を前提に作られていますから、「いつの間にか海外から使われている」という状況に早く持っていかなくてはいけません。

─ 昨今、グローバル化の流れの中で日本企業が勢いを失っていると言われる中で、クラウド、ひいてはITが日本企業の競争力強化のためにできることは何だとお考えでしょうか。

 日本は「もの作り大国」と言われるように、製造業をはじめとする第二次産業を重視する傾向がありますが、輸出産業としてはサービス業を中心とした第三次産業、その中でも特にITが大きな可能性を秘めていると思います。現にアメリカ経済は、輸出産業としてのIT に力を入れたことで、80 年代~90 年代の第二次産業の不振から立ち直っています。実際のところ、輸出産業として今後大きく成長する可能性があるのはITなのですから、日本も「もはやITの輸出でしか成長の道はない」と腹をくくるべきではないでしょうか。

 しかし、日本のIT産業のビジネスモデルは、ユーザー企業の要請に個別に応えていくカスタマイズビジネスが中心なので、内需の拡大には貢献できても輸出には向きません。輸出産業としてのITを強化するためには、サービスを定型化する必要がありますし、同じようなものを各人がばらばらに作るのではなく、共通化できる部分は極力共通化してそこに資本や人的リソースを集約するべきです。IaaSは、まさにそのような位置づけのものですから、これを担う企業は今後どんどん増えていくべきだと思いますし、我々自身も「日本の輸出全体を下支えするんだ!」というぐらいの気概を持ってやっていきたいと思います。

田中 邦裕(たなか・くにひろ)

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長

1978年、大阪府生まれ。1996年、国立舞鶴高等専門学校在学中にさくらイン ターネットを創業し、レンタルサーバー事業を開始。舞鶴高専卒業後の1998 年、有限会社インフォレスト設立。翌1999年、さくらインターネット株式会 社を設立、代表取締役社長に就任。2005年に東証マザーズへ上場。

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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