「テレビ」の存在感が薄れている。家庭の中を見渡すとスクリーンとして機能する機器はスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、パソコン、そして「テレビ」と多様化している。その結果、一昔前と比較してスクリーンとしての「テレビ受像機」は、その役割を相対的に低下させている。スクリーン機能の「ポスト・テレビの時代」が訪れている。今回から二回に分けて「テレビの今」を考察する。
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サービス化する映像コンテンツ
テレビとはテレビジョンの略語であり、フランス語の「television」に由来する。"tele"はギリシア語で「遠く離れた」を意味し、"vision"はラテン語で「視界」を意味する。「遠く離れた物事を見る」ということが、テレビの本質と捕らえることができるだろう。
「遠く離れた物事を見る」ための受像機が「テレビ」だったとしたならば、すでにその役割を終えていると言ってよい。何故なら、パソコンでもスマートデバイスでもフィーチャーホンでもゲーム機でも「遠く離れた物事を見る」ことはできるようになっているからだ。「遠く離れた物事」自体も、それがテレビ局から放送された物である必要はない。ストリーミングで提供される物も「遠く離れた物事」である事に違いはない。
受像機も多様化し、受像機に表示するコンテンツも多様化している。すでに映像コンテンツは「テレビ」という機器特有の物ではなく、サービスとして様々なデバイス上で視聴できる時代になった。
そのため、今、「映像コンテンツ」を映し出す環境の変化に伴い、テレビを取り巻く環境が大きく動いている。現在のテレビを取り巻く環境を下図に記載する。

今回から二回に分けて「テレビの今」について考察する。
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大元 隆志(おおもと たかし)
ITビジネスアナリスト/顧客視点アドバイザー 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、 技術者、経営層、顧客の3つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。講談社 現代ビジネス、翔泳社EnterpriseZine、ITmediaマーケティング等IT系メディアで多くの記事を執筆。所有資格:米国PMI認定 PMP、MCPC認定シニアモバイルシステムコンサル...
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