2010年6月、Android搭載タブレット「Cius」を掲げて法人タブレット市場への参入を表明した米Cisco。参入から二年目を目前に「Cius」ビジネスの撤退が発表された。
Cius撤退の決め手となったのは、スマートデバイスの進化の早さと普及速度だった。頻繁にアップデートされるAndroid OSと、iPad人気により、自らタブレットを提供することを諦め、急速に企業に浸透するスマートデバイスを「管理」する方向へとシフトした。
そんな最中、私物のスマートデバイスを業務で利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」が注目を集めている。
BYOD(Bring Your Own Device)とは?
従業員が私物のスマートデバイスを会社に持ち込む行為を「BYOD(Bring Your Own Device)」と呼ぶ。今年に入ってから国内でも盛んにメディアで報道されるようになったため、言葉は聞いたことがあるという方も多いだろう。
BYOD(Bring Your Own Device)という言葉自体は、レストラン等に自分のワインを持ち込むBring Your Own Drinkが語源とされ、元々は米国のハイテク企業等で活躍するエリート社員のモチベーション向上がきっかけだったと言われている。
人材の引き抜き合戦が過熱するGoogleやFacebook等のハイテク企業では、従業員の離職を防ぐために無料で飲食を楽しめる食堂やバーを設置し従業員満足度を向上させる工夫が従来行われてきた。スマートデバイスが急速に普及したことで、「お気に入りの」スマートデバイスを業務に利用することもそういった従業員満足度の向上に繋がるという発想から、私物端末の業務利用を認める企業が現れた。
BYODをモチベーション向上に利用している企業では、スマートデバイス代と通信費を企業側が負担しているケースもある。 その後、スマートデバイス代と通信費代(またはどらか)を従業員負担とすることで「経費削減」に繋がるとする声も聞こえるようになった。
BYODとはどのような状態を指すか?
最近筆者に寄せられる質問に「BYODが私物を企業に持ち込むことは理解しているが、どこまでの状態を指すのか?」という質問をいただくことが増えている。
この問いに対して、広義には下記の四パターンがBYODに含まれていると答えている。
(4)の状態をBYODと考えている企業担当者が多く、「自社には関係ない」と捉えている企業は少なくない。しかし、実際には急速なスマートデバイスの普及で(1)~(3)の状態が急増している。(1)~(3)の状態も「BYOD」の状態であり、そこには「リスク」が存在していると認識しなければならない。