さらに、米国ではデータベースのセキュリティに関して実装ガイドが公開されていたり、特化した教育が行われていたりと一歩先を行く状況もあるが、日本ではこの領域に対しいまひとつ力が入れられていない。こういった状況に対し「Oracleがもっと積極的になる必要があります」と三澤氏は言う。
その積極策の1つとなるのが、今回提供を開始する「Oracle Audit Vault and Database Firewall」という製品だ。データベースのセキュリティを強化するポイントとしては、暗号化、アクセスコントロール、監査の3つがあるが、この製品はその中の監査とアクセス・コントロールの一部を担う。
"and"でつなげられた長い名称からも想像がつくように、もともとは「Audit Vault」と「Database Firewall」という2つの製品を、1つに統合したものだ。Audit Vaultは、Oracle Database 10gのころから提供されてきたオプション製品。データベースのアクセスログを収集し、監査を行うためのものだ。もう一方は、2010年に買収したSecerno社の製品「DataWall」がそのベースで、これをOracleが買収後Database Firewallとして提供してきた。これら2つを、今回統合し、新たなOracleオリジナルの製品として提供を開始することになったのだ。
今回の「Oracle Audit Vault and Database Firewall」の特長は4つあると、製品事業統括 製品戦略統括本部 テクノロジー製品推進本部 シニア・プロダクトラインマネジャーの大澤清吾氏は言う。安価になった価格、監査と防御の統合、データベース以外のログ取得が可能、ソフトウェアアプライアンスですぐに簡単に使えるという4つだ。
価格は、従来製品の半分くらいまで安くなり、管理対象となるサーバーの1プロセッサあたり65万2200円。もともとが買収製品であり他のデータベースをサポートしていた利点を活かし、Oracle以外にもMySQL、Sybase、IBM DB2 Microsoft SQL Serverなどのデータベースも保護の対象としている。また、データベースのログだけでなく、OSのログ、さらにはAPI経由でコードを書けばたとえばApacheなどのWebサーバーのログなども一元的に収集して監査対象に加えることが可能だ。
また提供形態のソフトウェア・アプライアンスは、インストールすると必要なOS設定なども自動的になされ、必要のないプロセスの停止なども実施されハードウェア・アプライアンスと同等な状態になるというもの。ハードウェア・アプライアンスの手軽さと、ハードウェアの選択という2つを両立するものとなっている。日本での製品の提供開始は2月5日からとなる。