採用の決め手は日立ならではの「熱い○○」
さて、ではここで○○の謎を解くために、データスタジオ@WEBにHiRDBを組み込むに当たって、日立が行ったことを以下に幾つか挙げてみよう。
・日立社内でプロジェクトを立ち上げ、専任のエンジニアをアサイン
・HiRDBを組み込むために必要な作業リストと作業計画の作成
・エンジニアの教育のためのトレーニングの提供
・アプリケーション側の要件ヒアリングや、それに対応するHiRDBのパラメータ設定の提案など、頻繁な合同レビュー
・「いつでも駆け付けまっせ!」のオンサイトサポート
・その他もろもろ……
これだけ至れり尽くせりの支援サービス、さぞや高額なサポート費用が掛かったのかと思いきや、ここだけの話、想定外にリーズナブルだったとか! おまけに、組込版HiRDBのライセンス価格も前の製品と同等だったそうで。おいおい、日立はこれで本当に儲けが出るのか? ただ念のため付け加えておくと、今回のDTSのケースのように、初めてHiRDBを導入する場合に限っては、例えばエンジニアの教育プログラムを無償で提供し、ユーザー企業の中でまずはHiRDBの専門家を育成してもらうこともままあるのだという。
これがもし外資系ベンダーであれば、「別途サポート費用をいただきます」「有償トレーニングを受けてください」「サポートの責任範囲はここからここまで」みたいな感じになるところだろうが、日立のサポートはこれとは対照的に、「何でもやりまっせ!」「お代は気にせんといて!」(なんで関西弁やねん)。
こうした、ある意味「捨て身」のサポートのおかげで、当初は前製品との仕様の違い、特に事前の設計を入念に行う必要があるHiRDBの仕様に戸惑いを見せていたDTSのエンジニアたちも、比較的すんなり慣れていったという。
「製品ベンダーにここまで懇切丁寧にサポートしてもらったのは、初めての経験でした。サポートというよりは、われわれと一緒に製品を開発してもらったと言った方が正確かもしれません。本当に熱いサポートでした」(須田さん)
須田さんは、話の端々でこの「熱いサポート」という表現を差し挟む。さぞかし暑苦しい、もとい熱心なサポートだったのだろう。その甲斐あってか、HiRDBを組み込んだ次期データスタジオ@WEBの開発は順調に進み、本稿執筆時点(2013年1月)では、別のOS環境への移植も進んでいるという。