「経営分析」と「財務分析」の違い
まず、次の問題を考えてみてください。
3つの事業計画(図1)があります。計数だけで判断するとして、あなたならどの事業を選びますか。その理由は何ですか。少し考えてみてください。そしてはじめに考えた内容を、覚えておいてください。後ほど説明します。
さて、経営分析はどのように行なうかご存知ですか。経営分析は、いろいろな分野、体系がありますが、次のように整理するとわかりやすいでしょう。
一つは、計数分析(定量分析)という分野です。特に決算書を分析する財務諸表分析の手法が有名です。財務分析と略して言うことが一般的です。収益性、安全性、生産性、成長性などの切り口があります。経営分析というと、この財務分析を指す場合が一般的です。
もう一つは、非計数分析(定性分析)です。内部環境と外部環境に分けて考えます。内部環境は、経営理念、経営者のキャリア、従業員の意識やモラル、技術力・情報力などを分析して、企業の強み(Strength)、弱み(Weakness)を判断します。外部環境は、顧客、競合他社との競争状況、業界状況、マクロ経済、法的規制などを把握し、企業がおかれた機会(Opportunity)や脅威(Threat)を把握します。強み、弱み、機会、脅威の英語の頭文字を使って、SWOT分析と呼ばれているのはご存知の方も多いでしょう。(注)広く解釈すれば、内部環境分析には、財務分析を含みます。
連載では、計数感覚を磨いて経営を考えていく方法を紹介したいので、財務分析の体系を理解することで、新規事業開発とどうつなげるのかに重点を置いて考察していきます。