顧客が“欲しい瞬間”に価値を届ける「オケージョナル・インターフェース」とは?
前回は、最も生き残りの可能性が高いと考えられる通信事業者の進化形態である「フォーマッター化」について概要を解説すると共に、フォーマッターとしての通信事業者が届ける「提供価値」と「サービスパッケージ」について解説しました。今回は、残りの3要素である「インターフェース」「プロモーション」「プライス」について解説して行きたいと思います。
さて、「インターフェース」とはなんでしょうか。一言でいうと「顧客接点」になります。当然ではありますが、どんなに良いサービスパッケージを作っても、顧客と接点を持たなければそれを届けることはできません。顧客接点には店舗に代表されるリアル接点と、Web/メール等のバーチャル接点があり、対面接点以外はPCやスマホ等のデバイスを介してユーザーと繋がっています。
これまでの通信事業者のインターフェースへの関わり方は限定的でした。家電量販店やコンタクトセンター、企業HP等の各種インターフェースを通じてエンドユーザーに届けていた提供価値が、「通信及び通信付帯サービスの販売/提供/サポート」に、ほぼ限定されていたからです。
一方、エンドユーザーがインターフェースを介して届けて欲しいのはあくまで、「通信回線を介して提供される“今欲しい”情報やサービスのパッケージから生み出される“提供価値”」です。「フォーマッター化」した通信事業者は、この“オケージョナルなニーズ”に合わせて自身やアライアンス先からサービスをパッケージングして提供することになります。
「オケージョナル」をキーワードとするこのパラダイムシフトは、通信事業者が持つインターフェース(販売/サポートチャネル、通信デバイス)を劇的な効果を生み出す“金の卵”に進化させます。なぜなら、販売/サポート等のチャネルへの投資を抑制しているメーカーや一部のサービス事業者にとって、彼らの商品を「サービスパッケージ」として通信事業者のインターフェース上でセット販売してもらうのは非常に魅力的だからです。
そして次に、「オケージョナルなニーズ」にタイミング良くサービスを提供にするには、ケータイ/スマホ/タブレットといった通信デバイスをインターフェースとすることが最適です。通信事業者の持つインターフェースを活用すれば、欲しいと思った時にすぐにサービスを受けられる、またはECサイトを介して商品を購入することが出来る環境を作り出すことが出来ます。
つまり、アライアンス先が持つ強みである製品力/サービス力と、彼らの弱みであるインターフェース力の相互補完からなるWin-Win関係が構築されます。その力で、それぞれの体験シーンで「パッケージ化されたサービス」を、インターフェースを介してユーザーに届けられるようにする。それがフォーマッターたる通信事業者が目指すべき「オケージョナル・インターフェース」の基本的な考え方なのです。