Data DomainでORACLEの高速バックアップを実現するには?
では増大し続けるデータベースのバックアップ時間を縮めるにはどうしたらよいのだろうか。
「Data DomainはRMANと連携可能なDD Boostというプラグインを提供しています」(八木下氏)
通常RMANからストレージに書き込まれる場合、バックアップ対象となる全てのデータがクライアントとストレージ間を流れ、高速化する為には10GやInfiniBandをクライアントストレージ間に敷設する必要がある。
しかし、DD Boostを使用すれば状況を一変することができるという。
「DD Boostというプラグインをクライアント上に配置すると、RMANからデータを受け取ったDD Boostはそのままクライアント上で重複排除処理を行い、メタデータと重複排除したデータブロックのみをネットワークを介しData Domainへ転送することが可能になります。
つまり、Data Domainへのネットワークトラフィックを最大限に削減し、既存のインターフェースでバックアップの高速化を実現することができるというわけです」(八木下氏)
とりわけ、Oracleのように巨大なDBであっても日々の更新量が一部に限られるシステムであれば、Oracle管理者は容易にその効果をイメージできるのではないだろうか。
さらにData Domainはレプリケーション機能も有しており、リモートサイトへは重複排除されたデータブロックしか転送しない。
巨大なデータベースのディザスタリカバリの実現に当たって、高コストのかかる太い帯域を必要とせずに現実的な回線を敷設することで事業継続のサービスレベルを向上させることができるのだ。
Data Domainで変わる!バックアップの常識
さらに、八木下氏によれば、DD Boostも改善しているという。DD OS 5.2までは、仕様上RMANのMultiplexing:1を推奨としていたため、スループットを重視の大規模環境での適用は難しかった。
「最新のDD OS 5.3では、Multiplexingに対する改良が加えられ多重度を上げることが可能となり、データ削減の効果を得ながら大規模環境にも耐えうるスループットをあげることができるようになりました」(八木下氏)
大規模なデータベースのバックアップは時間がかかるものだ、とあきらめている管理者も多いだろう。結果的にバックアップウィンドウの時間内に可能な範囲での世代数のバックアップしかとれないと思い込んでしまう。しかしその状況は、Data Domainを使うことで大きく変えられるかもしれない。
「今後もデータが増加し続ける中で、将来的に、今のサービスレベルが維持可能なのか、追加の要件に耐え得るバックアップ環境なのか、今一度考えてほしい」(八木下氏)。
確かに、ビッグデータ時代が到来している現在において、既に課題を抱えている、近い将来に運用の限界がくる管理者は一度、Data Domainの重複排除の世界を検討してみる価値はありそうだ。