プライベートアップストアにMDM——モバイル管理ソリューションのトレンドは
これらのポイントのうち、モバイルに特化した機能、トレンドは何だろうか。林氏は「プライベートアプリストアが注目を集めている」という。具体的な製品としてはシマンテック社のAppCenterなどが対応するが、企業が独自のアプリストアをもち、そこにアプリケーションや独自コンテンツ、ブックマークを登録し、配布できる機能だ。
そのほか、デバイスからのアクセスをコントロールしたいというニーズも根強い。林氏は「社内のリソースへアクセスするため、社内サイトブックマークをパッケージングしたいというニーズは多い。これを実現するにはアクセスコントロールが必要で、モバイルデバイスにエージェントを入れ、ウイルスパターンファイルが最新になっている端末だけ、最後にスキャンしたのが決められた日数以内の端末だけを接続するなど、ポリシーコントロールを行うことが可能になります」と述べる。
モバイルデバイスマネジメント製品についても機能の成熟が見られる。例えば端末を紛失したときに、個人領域を含む端末全体ではなく、ビジネス利用部分のみをワイプすることができたり、リモートロックを自動でかけることもできるようになったという。「以前であれば夜間や休日には対応できなかったものが、例えばJailbreak/root取得を検知した瞬間に業務エリアをワイプすることができるようになっています。ルール付けとフローを定義できるので、どんなルール違反をしたらリモートロックをかける、業務エリアをワイプするなどをポリシーを作れば夜間でも無人対応が可能です」(林氏)
以前はモバイルデバイスマネジメントやモバイルの資産管理は機能が足りずに採用できなかった、ということもあったかもしれないが、特にモバイルのエリアでは機能改善が著しい。モバイルセキュリティ関連を一度調査、検討したIT管理者ほど、積極的に最新情報を押さえるべきだろう。
使えば便利、だけど使えないという“矛盾”をクリアするために
いままでに登場したIT技術は、導入検討/試験を行う時間が十分にあり、最終的にはその可否をIT管理部門が判断できた。しかし、モバイルはそうではない。ここまで急速に導入が進み、ニーズが高いIT技術はいままでにないものだっただろう。モバイル対応はどんな規模の企業においても「待ったなし」の状況だ。
日本ヒューレットパッカードの増田 博史氏は「クラウドやモバイルはまさに”コンシューマライゼーション”の波だと言えるでしょう。B to Cのコンシューマービジネスが発展し、その機能にセキュリティやリスクを整備しながら、B to Bのエンタープライズビジネスに取り込むようなイメージだと考えている」と述べる。