オラクルが「マシン」あるいは「エンジニアド・システムズ」と呼ぶ垂直統合型製品にはExadataやExalogicがあり、このExalyticsは情報分析やレポーティングに特化した「情報活用基盤」という位置づけだ。「Exa」シリーズで分析を意味する「analytic」を組み合わせた名称となっている。
ExalyticsはExadataやExalogicより後発ではあるものの、「ビジネスの立ち上げはExadataよりも早い」と語るのは、同社 専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏。Exalyticsを利用する顧客の多くはExadataと組み合わせて活用しているそうだ。
最新版となる「X3-4」ではハードウェア、ソフトウェアともに強化された。後者はモバイル機能、視覚化・操作性・統合性などユーザー指向に力が入れられている。
ハードウェアの強化
旧モデル(Oracle Exalytics X2-4)との比較をすると、当製品に組み込まれたインメモリ・データベース(Oracle TimesTen)で使用するメモリを1TBから2TBに増強、フラッシュメモリを新規に2.4TB搭載、ストレージを3.6TBから5.4TBに拡張した。ベースマシンはSun X4470 M2、プロセッサはIntel Xeon E7-4870を4基搭載し合計40コアとなる。
日本オラクルによるとハードウェア増強などにより、最大書き込み処理能力は5.9倍、1秒間における最大読み込み・書き込み回数は250倍と性能向上したという。
なお旧モデルの顧客向けにフラッシュメモリやメモリを増強するアップグレードキットが提供される。
モバイル機能の強化
ソフトウェア強化のなかでモバイル機能強化にあたるのが「BI Mobile App Designer」。モバイル端末向けの分析アプリケーション開発ツールである。「Oracle Business Intelligence Foundation Suite」に含まれている。
アプリケーションはHTML5ベースで提供され、クライアントはパソコンのほかモバイル端末からも同じ画面や操作性でアクセスできる。開発者にはモバイル端末向けに別途画面やレポートを開発する必要がないのがメリットとなる。
モバイルで重要となるセキュリティ機能も強化されている。モバイル端末では紛失や盗難の恐れがある。対策としてアクセス権をサーバー側で一括制御、コンテンツを端末に一切保存しないようにサーバー側で設定できるなど配慮されている。三澤氏は「モバイルのセキュリティ機能はほかと比べて圧倒的に強い」と胸を張っていた。
またアプリケーションの配布はローカルサイトにApp Serverを構築して配布できるため、Appleによるアプリの審査は不要となる。
視覚化・操作性・統合性
ユーザーが直接目にするグラフやレポートの視覚化も強化された。データ比較に使うトレリスグラフ、重要指標をタイル表示するパフォーマンスタイルなど、データを視覚的に把握しやすくするためのグラフ提供、Endecaと統合してサーチ機能が強化されるなど利便性が向上している。また地図と連携したレポートでは「3ステップで画面を開発できる」とのこと。
顧客に好評なのがOfficeとの統合機能。Smart ViewによるBIプレゼンテーションやビューの作成やダッシュボードコンテンツをExcelへエクスポートできる。
三澤氏はOracle Exalyticsの強みとメーカーとしての自負を次のように語った。「発生したデータを価値に変え、よりよい気づきを与えるには、データを適切にハンドリングできて視覚化できる表現力が必要となる。データ分析というと今はデータサイエンティストが重視されている。人材育成も大事ではあるが、同時に使いやすい製品を提供することもメーカーがやるべきこととして考えている」
なお一般向けイベントとしてOracle Data Intelligence Forum 2013が8月28日に予定されている。