冒頭は日本ヒューレット・パッカード株式会社の篠田典良さんによる「知られざるOracle Database 12cの新機能」。篠田さんはOracle ACEであり、Oracle Database関連の書籍を多く執筆。近年ではSQL ServerやPostgreSQLなども幅広く手がけるデータベースのプロ。12cの新機能を内部構造から解説。7月23日から提供されている最新のパッチセット「12.1.0.2」は話題の新機能「In-Memory Database」ほか、Big Data SQLやJSON Document Storeなど新機能や機能強化が盛り込まれている。「かなり違うので、これ以降はマニュアルも新しいものを参照したほうがいい」とのこと。
もう1つの最初のセッションは「DB思い出話いろいろ」。スピーカーの北山 貴広さんはSoftware Designにて「温故知新 ITむかしばなし」を連載中。Oracle Databaseとは1994年ごろのOracle 7からということで長い経験を持つ。セッションではこれまで参加したオラクルのイベントから経験したトラブルシューティングまで。楽しいものからつらいものまで思い出を語ってくれた。前者は当時参加者に配布されたCD(技術資料)など懐かしいものもあり、後者は解決までの経緯と解説など。
「エンジニアなでしこ魂3 -オラクルとプラチナと私-」は富士通株式会社の石川貴美子さん。「Platnum of the year 2013」受賞。「3」とはこちらの記事の続編だからなのだとか。ORACLE MASTER Platinumを取得するまでや現在のOracleの商談支援などを話していた。「ExadataもいいけどM10もね」と話す笑顔がまぶしい。間近に迫ったOracle OpenWorldでは展示会場でIn-Memory Databaseのデモをするそうだ。オラクルの仕事をするのは「いろんな人に出会えるから」。
「とあるDBAの黒い画面(ターミナル)II ~端末作業を快適にするヒント、お届けします(その2)~」は吉川 和宏さん。Web技術を用いたシステムに長らく携わり、主にDatabaseの運用管理を担当。これまでもJPOUGの勉強会に登場し、運用管理に有用なワザを紹介する人物として定評がある。今回もシェルやコマンドラインで使える便利なコマンドやワザを数多く紹介した。例えばSQL*Plusでコマンド実行履歴が使えるrlwrapについて細かく解説。CUIではGUIツールではできないこともまだあり、あらためてCUIの有用性に気づかされる。
今回のイベントでは唯一Oracle Database以外をテーマにしたセッションで「MySQLのロックについて」。解説は平塚 貞夫さんでOracle DatabaseとMySQLで長い経験を持つ。Oracle ACEでもある。最初に「next key lockが分かる人」と会場に質問し「その人は今日の話が分かると思います」とスキルチェック。セッションでは特定の条件で発生するMySQLのデッドロックを紹介し、なぜ起きるのか発生メカニズムを解説した。参考としてOracle Databaseとの仕様の違いも解説。最後にいくつかの対処法を示した。
「Oracle Database 12c マルチテナント入門」はタイトルから分かるようにOracle Database 12cの目玉機能を紹介した。解説は株式会社インサイトテクノロジーの宮地敬史さんと中川裕貴さん。マルチテナントの概要や利点はもちろん、注意点も。「EEオプションが必要」、「どれかインスタンスダウンが発生すると、全PDB(プラガブルデータベース)にも影響が及ぶ」など。中川さんは適した利用パターンとして「高負荷となる時間帯やタイミングが異なるデータベースを集約する」、「負荷が高くないデータベースを集約する」と挙げていた。
最後のお約束はLT(ライトニング・トーク)。 登場順に「MySQLユーザから見た「ここが{ヘンだ,スゴい}よOracle Database」」(三谷智史さん)、「WindowsでもChefしたい!」(山本民枝さん)、「安くて速くて安心な構成を目指して」(宇佐美 茂正さん)、「続・IIJもデータベースのサービスやっています」(二ノ宮 務さん)。どれも濃密な内容かつ独自の視点で参加者を楽しませた。