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DB Online Day 2016 Report

IT部門はデータベース管理システムの管理からデータの管理へ

 7月6日、DB Online Day基調講演にITRプリンシパルアナリスト生熊清司氏が登壇し、RDBMS製品についての国内市場動向や今後の方向性について説明した。

IT市場動向から浮かび上がる現状

 ITR プリンシパルアナリスト生熊清司氏
 ITR プリンシパルアナリスト
生熊清司氏

 まずはいま、企業IT市場はどうなっているのかを調査結果から紐解いていこう。ITRは長らく「IT投資動向調査」を続けている。IT予算を金額だけで見ると企業規模に影響されるため、企業の売上高に占める比率で経年変化を見ていく。これでITへの投資動向がつかめる。

低下傾向にあるITの新規投資比率 出典:ITR「IT投資動向調査2016」
低下傾向にあるITの新規投資比率
出典:ITR「IT投資動向調査2016」

 調査開始年となる2001年度は1.3%。その後2006年度まで増加を続けて3.2%に届いた。以降は多少の変動はあるものの、おおよそ3%前後で推移している。ただし新規投資で見ると低下傾向だ。

 将来はどうか。同調査から「次年度に最重要視するIT戦略上のテーマ」を見ると、上位5項目は前年と同じ。1位から順に「売上増大への直接的な貢献」、「業務コストの削減」、「顧客サービスの質的な向上」、「ITコストの削減」、「システムの性能や信頼性の向上」となる。かつてITは無理無駄を減らし生産性を向上させるなど、間接的に経営を支えるものだったのに対して、近年ではトップが示すように「売上増大への直接的な貢献」と変わりつつある。つまりITそのものがビジネスであり、経営に直結しているということ。最近、よく言われる「デジタルイノベーション」や「デジタルトランスフォーメーション」がまさにそうだ。

 次年度に最重要視するIT戦略上のテーマ 出典:ITR「IT投資動向調査2016」
次年度に最重要視するIT戦略上のテーマ
出典:ITR「IT投資動向調査2016」

 より具体的なIT動向を示す項目で重要度と伸び率を見てみよう。重要度の上位3つは「IT基盤の統合・再構築」、「ビジネスプロセスの可視化・最適化」、「マイナンバー制度への対応」とある。上位2つは重要度としては高いものの、伸び率は低い。一方、3位のマイナンバーは際だって高いものの、一時的な特殊事情と考えていいだろう。伸び率のトップには重要度で3位のマイナンバーがあり(一時的な特殊事情)、以降は「IoTのビジネス活用」、「APIによるシステム連携」、「アジャイル・ソフトウェア開発の導入」などデジタルイノベーションやデジタルトランスフォーメーションに関係する項目が並ぶ。

 主要なIT動向の重要度と伸び率 出典:ITR「IT投資動向調査2016」
主要なIT動向の重要度と伸び率 
出典:ITR「IT投資動向調査2016」

 IT予算は横ばいであるのに対し、データ流通量は増加の一途にある。総務省「ビッグデータの流通量の推計及びビッグデータの活用実績に関する調査研究」(平成27年)によると、データの流通量は9年で9.3倍も増加している。流通しているデータを種別で見ると、最も増加しているのは動画やセンサーデータなどIoT関連の非構造化データが上位を占めるものの、顧客データや経理データといった既存のITシステムで利用している構造化データも4倍程度増加している。つまり、種類に限らず全般的にデータ流量が増加していると言える。

 ここまでの調査結果から分かるポイントは、IT予算は横ばい、新規投資になると低下気味、なのにデータは増加の一途。背景には、依然としてコスト抑制圧力が高いことがある。コストの妥当性や投資効果の説明が難しいことと、経営者にIT投資が理解されないことがある。その一方、ITの利用範囲が拡大かつ高度化しているため、ITが経営に与えるリスクは増えているという側面もある。加えてデータが増加している点を考えると、データベースに求められる性能や機能は高まっている。

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RDBMSだけではなくなりつつあるデータ管理基盤

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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