データ連携にPostgreSQLのオープン性を活用
進化したPostgreSQLを既存の商用データベースの移行先として捉えるのではなく、ビジネスイノベーションのプラットフォームとして活用すべきだと佐野氏はいう。
「これまでのICTの世界では、バックオフィスシステムのデータと新しいICTのデータ間に隔たりがありました。お客様には従来のシステムを活かしつつ、ビジネスイノベーションのために新しいシステムとの連携も実現させたいというニーズがあるにもかかわらず、これがなかなか進まないという課題がありました。この課題に対する富士通の解決策が『データのオープン化によるシームレスな連携』です」(佐野氏)
たとえば、これまで顧客がものを「買った」情報のみ入手していた流通・小売りの世界を想像してほしい。今後IoTのソリューションが台頭することで、従来の「買った」情報に加えて、商品を手には取ったけれど購入には至らなかった「買わなかった情報」の他、店舗やECサイトなど複数チャネルから得られるデータも活用できるようになり、売り上げ向上につながる新たな知見を得られるはずだ。
このような仕組みを支えるデータベースには、既存システムとIoTのソリューションにより新しく構築したシステムとのデータ連携が必要だ。とはいえバックエンド側はシステムごとに使用しているデータベースもデータ形式も異なることが多い。大量のデータを連携させる際には、データ形式を合わせるための変換作業に手間も時間も掛かってしまう。
そこで活躍するのが、PostgreSQLである。バックエンドのレガシーなデータを格納するデータベースを、順次オープンなPostgreSQLに移行することで、バックエンドのシステムがオープンなインターフェイスを持つことになり、新しいシステムからのシームレスなアクセスを可能にする。
「バッグエンドのシステムがオープンなインターフェイスを持ち、新しいシステムからもシームレスにアクセスできるようになることで、OSSデータベースを起点とした新たなデータ活用基盤ができあがります。オープンなデータ活用基盤ができれば、これまで連携できていなかったデータベースとつながることができ、データの活用領域も広がる。これによりPostgreSQLの利用も広がり、エンジニアも増えるという相乗効果も生まれます」(佐野氏)
このような取り組みを推進する富士通は、実は2003年からSRA OSS, Inc. と共にPowerGress Plusを開発してきたという。
そして2012年、富士通は自社のデータベース製品ラインナップにPostgreSQLベースの「FUJITSU Software Symfoware Server(PostgreSQL)」[以下、Symfoware Server(PostgreSQL)]を加えた。富士通が長年培ってきた、企業がビジネスで使うデータベースに必要となるポイントを、PostgreSQLに補完している本製品の適用により、企業内のさまざまなシーンでPostgreSQLを安心して使えるようになるのだ。