自社のIT投資の状況を把握して初めて積極的な投資が可能になる
これまでIT部門になかった武器が、Apptioだ。自社が利用するSAPやオラクル、AWSやAzure、Jiraやセールフォースなどのさまざまなサービスと連携し、一元管理できる。管理はAPIで接続することもあれば、会社によっては「CSVを出力してそれをApptioに読み込んでいる」(成塚氏)というケースも。「いずれにせよApptioの中に入れてしまえば、データはビジュアルかつ階層的に確認できるようになります」。
Apptio導入によって、どのような成果が出るのか? 最大のメリットは、企業のIT投資をいったん全部入れ込んでしまえば、後はさまざまな階層でデータを閲覧、分析できることだ。例えば、昨今問題になっているシャドーITについても、A部門とB部門が類似のサービスを利用していたといったことが一目瞭然で分かる。また、導入しているサービスがどれだけアクティブに使われているのか? 適切な料金契約をしているのか? なども確認できる。
実際に成塚氏にApptioサービス画面をいくつか見せてもらったところ、利用状況と照らし合わせた結果、オーバースペックとなってしまっているクラウドインスタンス一覧を提示してくれていた。シャドーITには、デメリットの半面、イノベーションを促進し、生産性を高めるというレポートもある。ビジネスのスタイルがオンプレミスからクラウド、SaaSへシフトしていきている以上、禁止するのではなく適切なモニタリングで運用していくことの方が時流に乗っているとも言える。
新しいサービスであるApptioを日本で普及させる上で、信頼性を手に入れる
社長就任後、成塚氏は10数社の日本企業へ提案に行き、8割以上が興味を持ってもらえたと話し、Apptioの日本普及に自信を見せる。「トライアルプランも一部用意しているので、まずは体験してもらいたい」(成塚氏)。
実際に自社のIT要素をApptioに組み込み、運用を開始するまでには2〜3カ月はかかると、同席したエンジニアは話したが、この作業の中で棚卸しや統合などによりコスト削減が発生し、挑戦的な投資をする機会も出てくるだろう。
「まずは使っていただき、その上でCredibility(信頼性・確実性)を持ってもらえればと思っている」と成塚氏は話した。