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会計DXのために必要な「コンティニュアス・アカウンティング」とは――ブラックライン古濱社長

edited by Operation Online   2020/07/06 12:00

 例年であれば6月は株主総会が終わる時期にあって、新型コロナウイルスの影響による企業業績の見通しが不透明なままの企業は多い。決算作業の遅れによる混乱はまだ続きそうだが、経理部門はどうやって業務の立て直しを図るべきか。リモート決算ソリューションを提供するブラックライン日本法人社長の古濱氏に訊いた。

コロナ禍にあって30日以内に決算発表できた企業も

――前回のお話は新型コロナウィルスの感染が拡大しているピーク期に伺いましたが、その後も刻々と状況が変化したのではないかと思います。上場企業の決算はその後、どうなったのでしょうか。

 東京証券取引所が毎年発表しているレポートによれば、2020年3月期の決算発表所要日数は平均で43.4日という結果が出ています。2019年3月期は39.7日。実は過去10年の決算発表までの所要日数は40日を下回っていました。ところが今年は新型コロナウイルスの影響を受け、61.4%の企業で前回よりも日数が増える結果になりました。とは言え、所要日数の分布を見ると、40日前後の企業が多い反面、前年と比べて30日以内でできた企業が増えているとわかります(図1)。

<p>図1:2020年3月期決算の所要日数の内訳 出典:東京証券取引所

図1:2020年3月期決算の所要日数の内訳 出典:東京証券取引所

 興味深いのが業績予想の開示状況です。収束時期が不透明であり、多くの企業で今後の見通しに関する開示が困難な状況にあった中、全体の56.4% (1,266社)が業績予想を「未定」又は非開示とし、その理由としてコロナの影響に言及した会社は1,216社となりました。2019年3月期に業績予想を開示した企業は96.2%(2,249社)だったのですが、非開示の企業が開示した企業を上回る結果になりました。投資家にとって、業績予想はとても重要な情報ですが、どんな状況でも業績予想を出せる企業と締めることで精一杯だった企業で明暗が分かれた格好です。

――感染リスクに対する影響を予想に織り込むことすら困難だったとすると、開示できていたとしても再度の下方修正を余儀なくされる可能性もあります。決算早期化の歴史を振り返ると、SAPのERPを導入することの効果の一つが決算早期化であった時代もありました。当時と比べて今の経理部門の決算に関する意識はどう変化していますか。

 日本でのERPの普及は2000年代前半からと見られています。確かにその頃のテーマにも決算早期化はありました。実は2000年頃の決算早期化のターゲットは30日です。その意味で、図1の結果はこの難しい状況にあっても劇的に早期化できた企業が増えていることを示しています。現在のテーマにも決算早期化は入りますが、財務会計を踏まえた経営判断や事業判断への寄与が改めて認識されていると思います。

求められるコンティニュアス・アカウンティングへの転換

<p>ブラックライン株式会社 代表取締役社長 古濱淑子氏

ブラックライン株式会社 代表取締役社長 古濱淑子氏

――マニュアル作業に依存している経理部門は、全般的にどんな問題を抱えているのでしょうか。

 経理部門の業務には、多くのマニュアル作業が残っています。With/Afterコロナで、経理部門が今までと同じようにマニュアル作業を放置している会社はおそらく生き残れないでしょう。経理部門がいつも残業をしなくてはならない最大の理由は、締め切りを守らなくてはならない業務が多いからです。人という観点ではステークホルダーが多く、各部門と調整しながら締め切りに合わせる必要があります。また、テクノロジーの観点ではシステムがサイロ化されていることがあり、進化に追随することも求められます。さらに頻繁に変わる規制にプロセスを合わせなくてはなりません。

 なぜマニュアル作業ではダメか。時間がかかること、提出までに誤りを完全に検出できないリスクがあること、労働集約型であるが故に人件費がかさむこと、単純作業の繰り返しなのでモチベーションを維持しにくいことがその理由です。マニュアル作業による決算の遅れや訂正が生じた場合、ステークホルダーは不安を感じ、企業価値にもネガティブなインパクトを与えます。

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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