ボトムアップだけで組織は変わらない トップの変化に現場も備えること
宮田 営業というナレッジを会社に蓄積していくことの重要性、またそのナレッジを社員にどう活用していくのかが見えてきたように思えます。このような現場が利益を実感できる取り組みが進んでいくことが、大企業のDXが実現に必要不可欠なのだと感じました。
まだお話は尽きませんが、時間となってしまいました。最後に、おふたりから大手企業でDXに取り組む営業部門・IT部門・企画部門へのメッセージをいただけますか。
福田氏 まず大前提として、企業を大きく動かすためには、トップ自身が動く必要があります。IBMを復活させたルイス・ガースナー会長兼CEOの話は『巨像も踊る』(日本経済新聞出版)などの本でも多くの人が知るところです。トップのリーダーシップで組織は変わることができます。
厳しい言い方になるかもしれませんが、逆にボトムアップだけで変わった組織というものはあまり見たことがありません。トップが変われば、社員も変わることが求められます。私自身、長らく新しいツールや考え方を日本企業に取り入れていくことを生業としてきましたが、どうしても変化には時間がかかります。中堅層の方も5~10年のスパンで変化に向き合っていただきたいですし、経営層・管理職の方々は「自分たちの代で波風を立てたくない」と考えず、積極的に変革に取り組んでもらいたい。そういった方々を応援していきたいです。
徳田氏 この記事を読んでいる方の中には、30代、40代の中堅層も多いかと思います。大手企業の中で、組織を変えたい、営業を変えたいと思っている人たちと、つながり、一緒に考え、動いていきたいです。我々の「セールスDX」の取り組み自体も、まだまだ道半ばですが、失敗談なども含めて積極的に情報を公開していこうと考えています。
また現場の方にも、トップがリーダーシップを発揮したときに、すぐに対応できるスキルや考え方を持っておけるように、これらの情報発信がヒントとなれば嬉しいです。
宮田 立場は違えど、日本企業の力、ひいては人材の力を伸ばしていくためにテクノロジーは有効な手段であるとお考えのおふたりと座談会を実施でき、非常に勉強になりました。
この輪を広げていくべく、「セールスDX研究所」でも今後さまざまな取り組みを進めていければと思います。本日はありがとうございました!