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北川裕康のエンタープライズIT意見帳

前向きな逸脱のために、「外れ値」を愛そう。

 「常識を疑え」とはよく言われる言葉です。しかし英語では少しニュアンスが異なり「現状維持に疑問を持て」という言葉の方がよく使われるようです。今回はこの言葉からのイノベーションを考察します。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、現在はクラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長の北川裕康氏が本音と洞察で業界動向を掘る連載。

 米国ではThe Status Quoという言葉があります。それは、現状維持という意味です。Question The Status Quoでよく使います。「現状維持に疑問をもて」ということで、新しいことに向かうリーダシップの世界や、最新バージョンにアップアップしてほしいITベンダーが使います(笑)。

 日本はどちらかというと、「常識を疑え」ということが多いです。私の経験では、英語では常識を疑えとはあまり言いませんね。Common Senseが英語の常識なのでしょうが、Common Senseはどちらかというと感覚や判断力(Senseですから)を意味して、漢字からも日本では知識を表します。「常識」の意味は、辞書で調べると「健全な一般人が共通に持っている、または持つべき、普通の知識や思慮分別」です。

 常識を疑った結果できたビジネスの代表が、AirbnbとUberなのでしょうね。旅行はホテルに泊まる、タクシーはタクシー会社が運営するというそれまでの常識・規制を打ち破りました。Amazonも、本は本屋で買う、ロングテールは利益ができないという常識を打ち破りました。一方で、このような大半のケースは、リスクがあります。そこには規制があるからです。米国の企業は、規制を有利に変更していくのがうまいと聞きます。規制があっても、ビジネスを慎重に実装していき、自社のビジネスに合わせて規制をなくしていきます。そういう企業が大成功している気がします。一方、日本人は、規制に対して、まじめにとらえすぎているところがあるのかもしれません。

 個人の仕事で常識を疑えというのは、多くの人もつ共有知識を疑えということであり、文化的にも結構難しいです。私は京都出身ですが、そんなことを京都で言ったら、「アホなこといいはる」と言われますよ。実行についても、“言うは易く行うは難し”です。疑うだけの豊富な知識のオプション(引き出し)がないと、もっている今の知識など、自分では疑えないからです。私は22年間住んだ京都と30年以上住んでいる川崎の文化を理解しておりますが、京都しか知らない人は京都の文化が常識だと思います。私は、両方をみて判断することができますが、京都しか知らない親類に、ある部分で話が交わることなく、宇宙人と話しているようだと言われたことがあります…仕事では、勉強して多くの知識を得て、今の自分の当たり前の知識が1つのオプションでしかないとなる状態を作る必要があります。

 知識の引き出しを増やすのは、何も常識を疑うときだけのためではないです。打ち手が増えるので、何を実現するときの戦略面でとても有利になります。今回は、前回とは違うこの打ち手でやってみようかと考えることができ、戦術オプションが増えるのです。そのためには、いつも興味をもって物事に臨み、いつか、どこかで使ってやろうと知識を、脳の引き出しに記憶しておくのです。

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マイクロソフト SQL Server時代の逆発想

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北川裕康(キタガワヒロヤス)

35年以上にわたり B2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workday、Inforなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションなどで執行役員などの要職を歴任。現職は、クラウドERPベンダーのIFSでマーケティングディレクター。...

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