トランザクショナルではない、体験のAIエージェント
クアルトリクスは、本拠地のある米ユタ州・ソルトレイクシティで開催した年次イベント「X4: The Experience Management Summit」にて、AIエージェント「Experience Agent」を発表している。これにともない同社CEOであるZig Serafin(ジグ・セラフィン)氏、日本市場を統括するカントリーマネージャーの熊代悟氏にExperience Agentをはじめ、XM全体の戦略について訊いた。

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──まずは今回発表された「Experience Agent」について教えてください
セラフィン氏:我々は「XM」を通じて、顧客あるいは従業員と人間同士のつながりを“最良の方法”で構築することを突き詰めてきました。そしてExperience Agentは、アンケートの回答やECサイトでの情報入力において、ユーザーが戸惑っているときに立ち上がり、入力や操作などをサポートするためのツールです。たとえばECサイトでクレジットカードの入力がうまくいかないとき、Experience Agentが何に困っているのかを尋ね、ユーザーに必要な情報を聞いて、代わりに入力するといったことが可能になります。
Experience Agentの特徴は「人のつながり」に基づいていること。我々は人の感情や情緒、不満を引き起こしている要因など、人間を理解することを得意としています。既に各社から、さまざまなAIエージェントが提供されていますが、これらはすべて“トランザクショナル”なAIエージェントと言えるでしょう。つまり、注文の処理、販売活動の追跡などのトランザクションを完了することはできますが、顧客や従業員に共感することはできません。人間を理解できないため、顧客がどのように感じているのか、それに基づいて必要な瞬間にやり取りすることができないのです。
「すべてのつながりが重要である」──これこそがクアルトリクスのXMプラットフォームの中核であり、Experience Agentでも変わりません。“体験”を構築できるベンダーは、我々の他にはないと自負しています。
──2016年に「Research Cloud」、2018年からXMとして製品体系を整備するなど、これまで進化を遂げてきました。Experience Agentは、クアルトリクスの事業戦略においてどのような意味を持つのでしょうか
セラフィン氏:我々はソフトウェアやプラットフォームの開発・構築のため、設計図(青写真)を描いてきました。Experience Agentは、この設計図を単に新しくするだけでなく、XMを次のレベルに引き上げる役割を担っています。
これまでは顧客や従業員の声を聞き、理解することにフォーカスを当ててきました。ここにExperience Agentが加わることで“行動”すること、つまり顧客/従業員へのサービス提供をスケールできる形で実現できるようになったのです。
我々が新たな青写真で描くのは、人と人のつながりを構築すること。それも重要なタイミングで実行できるようにすることです。Experience Agentにより、XMは単なる洞察を得るためのツールから、重要な瞬間に“人のつながり”を構築するためのシステムへと進化していきます。
