マルチエージェントの時代だからこそ「LangChain」と提携
──ベンダー各社がAIエージェントを展開しており、今後より増えてくると予想できます。そうした「マルチエージェント」の状態を迎えたとき、どのような課題が出てくると見ていますか
セラフィン氏:顧客のメリットになるようなソリューションをAIエージェント間が協調して構築し、成果を上げていくようなマルチエージェントの世界は必至でしょう。すぐには実現しなくても、それに向けたシステムを構築していく必要があります。
そこで我々はExperience Agentとあわせて、「LangChain」との提携を発表しました。LangChainと共同でエージェント間の“相互運用性”レイヤーを作成します。つまりインターネットによるアプリケーション間での連携と同じようなことを実現していきます。たとえばQualtricsのエージェントがトランザクション型のエージェントと連携することで、顧客や従業員の体験を損なわずにトランザクションを実行できるようになるでしょう。
──では、最後に今後3年間の事業戦略について教えてください
セラフィン氏:Experience Agentの能力を拡大していき、BtoB、BtoC、BtoBtoBなど、幅広い領域で顧客体験をサポートしていきます。2024年に対話型の「Qualtrics Assist」を発表しましたが、導入企業は既に1,000社規模にまで達するなど、非常に好調です。今回のイベントでも、Qualtrics Assistのアップデートを公表しました。また、昨年はコンセプト段階だった「Qualtrics Edge」も正式に発表しています。「CX」と「EX」には相関関係があり、その両方に投資する企業も増えているため、ニーズに応えていきたいと思います。
私はクアルトリクスに入社する前、Microsoftで対話型支援サービス「Cortana」の開発チームを率いていました。エージェント的なシステムの先駆けともいえ、機械学習によるルールベースのシステムを構築していましたが、綿密なルールセットを持たなければならず、課題も多かったことを思い出します。
しかし現在、我々を取り巻く環境は大きく変わりました。意思決定の方法、理解できない時にフォールバックする方法、人の意図を理解する方法など、各領域で大きく進化しています。このような進化に対して、我々がずっとフォーカスしてきた人間の理解、何がつながりを強固にするのかといったナレッジなどを組み合わせることで、一段上のレベルに到達できるでしょう。今このような進化を目にできていることは、非常に光栄なことだと感じています。