簡単に開発するための拡張
Java EE 6で、より簡単な開発を実現する機能として、Servletもアノテーションベースになったことが挙げられる。Java EE 5までは、web.xmlファイルなどに様々な設定を別途記述しておく必要があった。Java EE 6では、これが必須ではなくなったのだ。これにより、Javaのソースコードの中に設定情報を記述できるようになり、構成の一元管理が可能になった。
また、従来はJavaの初期化コードもソースの中に記述していた。これもDependency Injection(依存性注入)機能のサポートにより、必要なくなった。つまり、初期化はプログラムではなく、実行環境であるコンテナ側に任せることができるようになったのだ。これらは、従来SpringやSeasar2などのオープンソースのフレームワークを利用していれば行えたことでもある。
ところが、オープンソースのフレームワークの利用では、企業のアプリケーション構築環境としてはサポートなどの面で不安もあり、正式に採用できないというケースもあった。Dependency InjectionがJava EEの標準仕様となったことで、今後はJava EE 6をサポートする商用のアプリケーションサーバーでオープンソースフレームワークの先進的な機能と同様なものを利用でき、サポートの面での不安もなくなる。これはオープンソースフレームワークの良さを、標準仕様に取り込んだと言える(図2)。
この他にもServletについては、今回2.5から3へとメジャーバージョンアップしており、様々な新機能が盛り込まれている。その中でも大きな変化となるのが、非同期処理のサポートだろう(図3)。これにより長時間のデータベースアクセスが発生するような処理やCommetのようなリアルタイムに結果を取得するようなアプリケーションをJava EEの標準の仕組みで構築できるようになったのだ。
この他にもJAX-RS(Java API for RESTful Web services)のサポートにより、REST(Representational State Transfer)形式のアプリケーションが簡単に構築できるようになった。これにより、システム連携を行う際に、SOAPを使用したWebサービスに加えて、REST形式での連携も容易に選択できるようになる。
「SOAPによるWebサービスは機能面は豊富だがアプリケーションの実装やインターオペラビリティという点では敷居の高い面もあった。REST形式によるWebサービスは、機能は限定されているものの、きわめて簡単に実装・接続ができます。いままでWebサービス化が困難だった領域でもSOAが実現できるのです」と田中氏は言う。(次ページへ続く)
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