InnoDBとMySQLの開発チームが融合、1チーム体制に
Oracleと一緒になりよくなったポイントとしてもう1つ挙げたのが、InnoDBに関する部分だ。MySQLの特長として、用途に応じストレージエンジンを選択できるマルチストレージエンジン機能がある。標準ではMyISAMというエンジンが採用されているが、これはトランザクション処理には対応していない。トランザクション処理を行いたければ、InnoDBを使うことになる。このInnoDB、もとはInnobaseという会社が開発していたが、2005年にOracleにより買収され、以降はOracleの製品として提供されてきた。
「Oracleに買収された立場ではありましたが、OracleのInnoDBの開発チームがMySQLの開発チームに融合され、いまでは1チーム体制となっています」と梶山氏。従来は会社が別でともすれば競合的な立場にもなり、なかなかスムースな情報共有ができなかった。それが、1チームとなり親密な開発体制を築けるようになったのだ。「MyISAMは、残念ながらすでに古いテクノロジーです。今後はInnoDBがMySQLの中では重要な技術になります」(梶山氏)
買収後、エンジニアがMySQLから離れていった事実はある。とはいえ、梶山氏によるとInnoDBはもちろん、今後MySQLの中で重要となる技術、たとえばMySQL Clusterなどの開発メンバーはすべてOracleの中にいる。さらに、Oracle Databaseで性能向上に関わってきたエンジニアが、いま、積極的にMySQLの開発を支援しており今後さらなる製品の進化が期待できるとのことだ。
実際、5.5ではInnoDBが標準ストレージエンジンとなり、サーバーのCPUコア数増加に応じ拡張性を発揮できるようになり、従来よりも大幅に性能が向上している。また、準非同期レプリケーション機能のサポートにより信頼性の高い仕組みの提供も可能になった。さらに、Windows版の著しい性能向上があるとのこと。
「じつはWindows版の利用が多いことがわかり、もっとフォーカスすべきということになっています。以前の性能が悪すぎたせいもありますが、5.5ではWindows版の性能はものによっては15倍以上と著しく向上しています」と梶山氏。さらに導入を容易にする専用インストラーも準備されつつあり、Oracleの対Microsoftを意識した戦略上も、今後はより一層Windows版の開発に力を注ぐことになりそうだ。