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衆議院議員 原口一博氏に聞く―地域主権と次世代インフラ実現のためのICTビジョン


分散化でリスク回避、危機管理におけるクラウド

― ITのインフラにおいて、企業活動における事業継続や危機管理の観点からもクラウドの重要性や機運が高まりました。一方で、これまでは国外のデータセンターに大切な情報を預けるのはセキュリティ上危険だというカントリーリスクが叫ばれていましたが、今回の震災や計画停電の影響で国内のデータセンターに対する不安の声も聞かれます。

民主党衆議院議員 原口一博氏
民主党衆議院議員 原口一博氏

 去年、Dreamforceでセールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEOたちと話をしましたが、クラウドはどこにあるからといって安全な訳じゃない。むしろバッファを様々な国に置いておけるから安全なのです。その観点から言えば、むしろプライベートクラウドこそ危険ではないでしょうか。パブリッククラウドだからこそ、多くのディフェンダーを集中的に投入できるのです。カントリーリスクは過大にいわれ過ぎですよ。それよりむしろ、東京電力管内のデータセンターの電力消費量が全体の2%を越えるという状況下で、世界への分散、西日本への分散は待ったなしの課題といえるのではないでしょうか。

 かつて私は自治体クラウドを提唱していましたが、もしそれが実現していたらと悔やまれてなりません。もし名簿や個人IDなどを保証できていたら、今回の震災の被災者の皆さんへの対応も変わってきたのではないかと思います。プライバシーの問題がありますから、慎重に進めなくてはならないと思いますが、災害時においては生存者の発見も容易になり、救助隊の作業も多いにはかどったことでしょう。ICTと避難、ICTと危機管理はもっと研究され、連携されるべきではないかと思っています。

自分の情報を自分で守れる、危機にも強い電子政府へ

―電子政府・電子自治体の構想は話題としては最近よく耳にしますが、実際にはなかなか進展が見られないように感じます。

 進行が遅れているのは、ドライバーがいなくなってしまった、というのが実状だと思います。ICTに聡い人材が、今の政府に少ないことが大きい。しかし、そうもいっていられませんから、今後は私たちで一気に推進していきたいと思っています。

 そもそも自治体クラウドにアクセスするための国民のコストが高いというのが問題です。コストが高い結果、例えば公共事業の入札についても不透明で参加しにくいものでした。こうしたことを排除し、電子政府標準化法を制定してすべての自治体を同じ情報フォーマットに統合していく。例えば、それだけでも個人の特定が容易になり、震災ですべてを失った人に対しても義援金配布などもスムーズに対応できるでしょう。

 そのためには国民番号制も有効です。これを国側が管理するためのものとして反対する人もいますが、決してそうではありません。「原口5原則」として掲げた中にもあるように、「自分の情報を自分で管理し、自分で守る」ことが目的なのです。管理が杜撰なために、自分の個人情報が不正に利用されていたり、改ざんされていたりすれば大きな人権侵害です。まさにクラウドと同様に、担当者の机の中といった狭く不安なところから、安全性の高いプラットフォームに移行することで、広く共有し、かつ自分の情報は自身で管理していくことが可能になるというわけです。(次ページへ続く

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新たな社会インフラを阻む、法令規制の撤廃を目指す

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この記事の著者

伊藤真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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