「データスタジオ@WEB」の組み込みデータベースとしてHiRDBを採用
そんなDTSとHiRDBとの関わり合いだが、2012年からはさらに一層その関係が深くなったという。ここまで紹介してきたのは、データスタジオ@WEBの接続先のデータベースとしてHiRDBを使うケース。でも2012年4月からは、データスタジオ@WEBの内部にHiRDBを組み込むための開発プロジェクトが進行しているそうだ。
この内部に組み込むデータベースというのは、いわゆる「リポジトリデータベース」というやつで、クエリや書式情報、認証のためのユーザー情報といった、つまりデータスタジオ@WEBの内部で管理する情報を扱うデータベースのことだ。アプリケーションの組み込みデータベースだと、「SQL Anywhere」や「Btrieve」(現「Pervasive PSQL」)、最近ではOracle DatabaseやSQL Serverの組み込み用バージョンなどがよく知られている。
そんなデータスタジオ@WEBも、とある組み込みデータベースを長く使ってきた。ではなぜ、使い続けてきたデータベースから、今になってHiRDBをラインアップに加えるのかというのか?
「今まで使っていたデータベースは、組み込み用としては非常に扱いやすくて取り回しが良く、データスタジオ@WEBの初代バージョンからリポジトリデータベースのエンジンに採用してきました。しかし、近年のM&Aなどの事業再編が進む中で、この先も安心して製品を使い続けられる環境が揺らぎつつある状況でした。そこでこれから先、従来製品だけを使い続けていくかどうかを、検討してみることにしたのです」
この検討をしているちょうどそのとき、須田さんの耳元で、誰かがこう囁く声があったとかなかったとか。「HiRDB、どうですか? HiRDB、組み込みでもイケますよ……」。実はちょうどそのころ、DTSは日立とパートナーシップを組んで、幾つかの共同開発プロジェクトを進めていたところだったのだ。この両社のパートナーシップの一環として、日立のデータベース担当者からHiRDBの組み込み版を紹介してもらったのだという。
ちなみに、今「え、HiRDBって組み込み版もあるの?」と思わず声を上げてしまったあなた、実はあるんです! 筆者もまったく知らなかったんですけどね。
これは須田さんらデータスタジオ@WEBの開発チームにとっては、まさに渡りに船。そして須田さんの脳裏には、かつてHiRDBを扱ったときに体験した、日立のあの手厚いサポートサービスの記憶がよみがえる。「おお、HiRDBよ、もう俺にはHiRDBしかない……」。HiRDBの魔力に吸い寄せられるようにフラフラと……いや、沈着冷静な須田さん、そんなに軽くはありません。それどころか、当初はHiRDBの採用に少し難色を示したそう。
「前の製品は本当に手間いらずで、ポン付けですぐ動いちゃうような製品でした。でもそれに比べてHiRDBは、ミッションクリティカルな基幹システム用に、しっかり設計して組み上げていくデータベースだという印象を持っていましたから、お手軽な組み込みデータベースというイメージは持っていませんでした。なので当初は正直、『うーん、どうかな』と思いましたね」
ところがどっこい、ここから日立は一気に形勢を逆転! DTSは結局、データスタジオ@WEB次期バージョンのリポジトリデータベースのエンジンとして、HiRDBの採用を決めることになるのだ。ここで決め手となったのが、日立ならではの「熱い○○」。
「○○じゃ分からん!」という方。至極ごもっともです。でも、最後まで読み進めれば分かるはず、きっと、多分……。