長年のライバルであるOracleとMicrosoft、そんな両社がクラウド上で協業するニュースについては、先日のDB Onlineでも取りあげた。この協業で、Java、Oracle Database、Oracle WebLogic ServerなどのOracleソフトウェアを、Windows Server Hyper-VやWindows Azureで利用した場合にOracleから正式なサポートを受けられる。逆にMicrosoftはJava、Oracle Database、Oracle WebLogic ServerなどをWindows Azureの顧客に対して提供し、OracleはOracle LinuxをWindows Azureの顧客にも提供する。そのときの記事でも触れたが、CEOであるスティーブ・バルマー氏までもが登場しての発表、MicrosoftがOracle DatabaseをAzure上で正式採用というイメージができたことは、間違いないだろう。そう考えると、この協業で一番のとばっちりを受けたのは、MicrosoftのSQL Server部隊ではないか。というわけで、この協業をどのように受け止めているのか、DB Onlineではお馴染み日本マイクロソフトのMr. SQL Server 斉藤、北川両氏に話を聞いた。
SQL Serverの立場は何ら変わるものではない

どう捉えていくかの問題だ」(北川氏)
「今回の協業は、Oracleにとってサーティファイド(認定済み)・プラットホームにWindows AzureとHyper-Vが追加されたということですね。そのサポートをどうしていくのか、さらにはライセンスや販売をどうするのかは、基本的にはOracleが中心にやることだと考えています」(北川氏)
Microsoftとしては、今後Windows AzureのギャラリーにOracleのソフトウェアをどういう形で置くのかといったパッケージングの問題はたしかにある。とはいえ、基本的にはOracleが新たなプラットホームをどう捉えていくかの問題だという。
「Microsoftの立場からすると、今回の協業はMicrosoftのプラットホーム・プロバイダーとしての側面が出た発表だと考えています。Oracleが、Windowsプラットホームで動く数多くのソフトウェアの1つだ、ということです」(北川氏)
あくまでも、冷静に受け止めている北川氏。とはいえ、この発表内容を初めて耳にした際には、動揺はなかったのだろうか。
「当然ながら、事前にこういう発表があることは、社内で情報共有していました。その際も、基本的にSQL Serverのポジショニングは、何ら変わるものではないなぁと思いました」(北川氏)
実際、事前に共有していた社内情報には、SQL Serverについてはこれまで通りの対応だという文章もあったとか。ところが、対外的な発表では、そこまで言及しなかったこともあり一部誤解を受けたのではとのこと。
「正式にJavaがWindows AzureやHyper-Vの上で動くようになったと考えれば、アプリケーションの移行などは、むしろやりやすくなったとも言えます」(北川氏)
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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