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ジョン・ファウラー氏が語る、エンジニアードシステムのヴィジョン


「ソフトウェアを開発しているトーマスのチームとは、1チームで取り組んでいます」--Oracle OpenWorldの3日目、基調講演のステージに立ったシステムズ担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、つまりはOracleのハードウェア製品全体の開発責任者であるジョン・ファウラー氏は、ソフトウェア開発チームとの深いレベルでのコラボレーションが、エンジニアードシステムを生み出す源泉だと言う。Oracleのハードウェアの開発では、たんにコアとなるシステムの統合だけでなく、エンジニアードシステムのすべてのスタックで、アプリケーションがうまく動くようにしている。これは、Oracleのアプリケーションだけでなく、Oracle DatabaseやOracleのミドルウェアを利用する他のベンダーのアプリケーションも顧客が開発したアプリケーションもうまく動くことにつながる。

ソフトウェア開発チームとは1チームで開発を行っている

ジョン・ファウラー氏
ジョン・ファウラー氏

 「Oracleでは、インフラをもっと簡単なものにしたい、そして業界で最も性能の高いものを提供したいと考えている」とファウラー氏。そのためには、さらに効率アップを図らなければならない。同じ処理を、より少ないハードウェアで行いたい。そのために、エンジニアードシステムで何ができるのか。それを追求して、ソフトウェアの開発チームと共通のエンジニアリング作業をずっと継続している。

 まずは、超高性能を実現するということ。20、30、40%の高速化をするのは当たり前であり、顧客はさらに大きな性能向上がないと、新たな製品を市場に投入することについてなかなか理解を示してくれない。顧客の期待に応える機能向上、性能向上を行い、さらには他の顧客の使い方を学習してそれを迅速にフィードバックできるようになっているのが、エンジニアードシステム。結果的にこれは評価され、2四半期で2,000台を超えるエンジニアードシステムを出荷しており。顧客のITシステムのランニングコストを下げることに貢献しているとのことだ。

 ハードウェアとソフトウェアの融合として象徴的な機能として新たに発表されたのが、インメモリーデータベースの機能。「インメモリーコンピューティングを、次の次元に持って行こうと考えた結果です。データベース全体をインメモリーで動かすことができるインメモリーオプションは、インメモリー上の列ストアとすることで、インデックス作る必要がなくなります。その結果データウェアハウスだけでなく、OLTPも高速化が図られ、その上、既存のアプリケーションへの変更は一切必要ありません」とファウラー氏。

 どれくらいの性能向上が図られるかは、ハードウェアによって異なることにはなる。とはいえ、今回のインメモリーデータベースは、小さなマシンでも利用可能であり。当然ながら大型のマシンですべてのデータをインメモリー入れることで、大幅な性能向上を図れるというものだ。その大型の、すべてをインメモリー化できるサーバーとして登場したのが、SPARC M6-32というマシンだ。これは、新しい3.6GHz、12コアの「SPARC M6」プロセッサを搭載し、32テラバイトという大規模なメモリーを搭載可能で、Exadataのメモリーセルも備えている。汎用のUNIXサーバーとしてだけでなく、Exadata Storageと接続してSuperCluster構成として「Oracle SuperCluster M6-32」とすることも可能だ。

 「これは非常にたのもしい存在で、複数の負荷を入れられ、極めて大きな課題を解決できるサーバーです」(ファウラー氏)

SPARC T5ベースの上位版Exalyticsが新たに登場

 もう1つ、新たなエンジニアードシステムの発表も行われた。それが「Oracle Exalytics In-Memory Machine T5-8」だ。これは、従来はIntel XeonベースだったExalyticsの拡張版に位置づけられ、最新のSPARC T5プロセッサ版のマシンとなる。

 4テラバイトのメインメモリー、毎秒1テラバイトのメモリ帯域幅、3.2テラバイトのフラッシュストレージ、7.2 テラバイトのハードディスク、128のCPUコア、1024のハードウェアスレッドが搭載されている。これで、毎秒256ギガバイトのI/O帯域幅をサポートし、10ギガInfiniBandを用いて、ZFSストレージアプライアンスやPillar Axiom SANストレージと高速ネットワーキングが可能だ。

T5プロセッサを搭載しSolaris OSとなったExalytics、これですべてがOracle製のエンジニアードシステムになった
T5プロセッサを搭載しSolaris OSとなったExalytics
これですべてがOracle製のエンジニアードシステムになった

 さらにもう1つ、全く新しいエンジニアードシステムも登場した。それがデータベースのバックアップ専用アプライアンス「Oracle Database Backup Logging Recovery Appliance」だ。これは、データベースのバックアップを、更新ログを使って行うもの。技術的には高可用性システムであるOracle Data Guardに似ている。ある時点のデータベースファイルのコピーをこのアプライアンスに取得し、以降のログを取得し格納する。なので、障害が発生する前の、最後のトランザクションログまで取得でき、データロスは発生しない。これにより「バックアップのやり方が大きく変わります。これは、Oracleのデータベースをしっかりと理解した上で作ったアプライアンスです。データベースの差異だけなので負荷も小さく、仮想化環境で稼働するデータベースのバックアップも取得できます」とファウラー氏。

 「コアテクノロジーに投資しないと、エンジニアードシステムは作れません」とファウラー氏。世界でベストなハードウェアを作るのがOracleの目指すところ。IBMは大型のマシンになると、性能単位あたりのコストが増大してしまうけれど、Oracleは小さいマシンでも大きいマシンでも単位あたりのコストは変わらずほぼフラットとなっている、とエンジニアードシステムの優位性をアピールする。

 世代ごとに性能を2倍にするのが、エリソンCEOからのファウラー氏率いるシステムズチームへの要求だ。顧客は、それくらい大きな進化がないと受け入れてくれない。これは、ちょっとした改良では達成できない。なので、「さらに大きな進化」をする次バージョンのプロセッサ「M7」も、すでに研究所でテスト段階に入っている。

 「ハードウェア、ソフトウェアの開発が、1つのエンジニアリングチームだということが、鍵となります」(ファウラー氏)

 将来のデータセンターのためには、特定の目的に特化した機能、性能を持つシステムが、最適な選択の1つとなる。Oracleは、コモディティサーバーではなく、そういった特定のワークロードを、劇的に速くするエンジニアードシステムに注力する。なので、常に10倍以上の性能改善を目指すことになる。この極めて大きなインフラ改善が期待ができるエンジニアードシステムを「是非、顧客の皆さんには選んで欲しい」と、ファウラー氏は参加者に語りかけた。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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