SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

ビッグデータ社会のプライバシー問題

プライバシー保護の新ルールは世界を席巻するか? EUがパーソナルデータ流通のための“交通規制”を策定中

■第6回

 EUは、「忘れられる権利」に象徴されるビッグデータ社会におけるプライバシー保護のルール「一般データ保護規則」の案(EUデータ保護規則案)を2012年1月に発表、日本のメディアでも大きく取り上げられた。その修正案*1が先月下旬に欧州議会の司法委員会で可決され、成立に向けて前進することになった。その後、採択が2015年以降に先延ばしされるなど予断を許さないが、今回は我が国にも影響の大きいEUデータ保護規則案のポイントを紹介する。

EUのルールは「個人の権利」を中心に構成される

 EUデータ保護規則案の具体的な中身に入る前に、まずその構成について日本の個人情報保護法と比較しながら紹介する。

 プライバシー権は、重要な人権の一つであるという思想が根底にあるEUでは、データ保護法(日本の個人情報保護法に相当)は、原則(2章)の後に、個人が自らの個人情報の取り扱いにどのような権利を有しているのか(3章)を規定し、その上で事業者の果たすべき義務(4章)が続く構成となっている(図表1)。

 これは、日本の個人情報保護法が、個人の権利利益の保護を目的とするものの、事業者の義務規定が中心で、個人の権利に関してほとんど言及されていないのと対照的である。米国が、2012年に「消費者プライバシー権利章典」を発表し、個人のプライバシー権を明確にしたことを想起すると、日本の保護法も今後、構造的な見直しが必要になるかもしれない。

 また、パーソナルデータの第三国又は国際機関への移転(6章)や独立監督機関(7章)なども詳しく規定されている。どちらも日本の個人情報保護法には含まれておらず、これまでEUから日本のプライバシー保護が不十分とみなされる要因となっている(第5回連載を参照)。

 なお先頃公表された経済協力開発機構(OECD)のプライバシー保護ガイドライン改訂版*2では、データの越境移転規制と独立監督機関の設置の両方が新たに推奨項目に位置づけられたことから、今後はEUだけでなく、国際的にもプライバシー保護に不可欠な要素としてみなされることになろう。

図表1:EU、日本それぞれの個人情報保護法の構成(日本には「個人の権利」の章がない)
出所:EUデータ保護規則案は欧州議会司法委員会修正案
(2013年10月22日、Jan Philipp Albrecht氏提供)をもとに作成。邦訳は筆者

次のページ
「ビッグデータビジネス」に影響の大きい3つの規定

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ビッグデータ社会のプライバシー問題連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

小林 慎太郎(コバヤシ シンタロウ)

株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 兼 未来創発センター 上級コンサルタント専門はICT公共政策・経営。官公庁や情報・通信業界における調査・コンサル ティングに従事。情報流通が活発でありながら、みんなが安心して暮らせる社会にするための仕組みを探求している。著書に『パーソナルデータの教科書~個人情報保護からプライバシー保護へとルールが変わる~』(日経BP)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/5338 2013/11/15 07:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング