OracleのDBaaSにアプリケーションに載せるだけでマルチテント化、データは圧縮され暗号化も
この日のキーノートセッションは、初日の発表の中からクラウドの部分、とくにプラットフォーム・サービスについて改めて説明、おさらいするものだった。プラットフォーム・サービスの最初の目標は、使いやすいものにすること。その前にまずはインフラを効率化したいというのがあった。この場合の効率というのは、多くの部分を自動化することだ。
「労働集約的な作業を少なくする。たとえばスペースやプロセスを配分する作業などを少なくする。人が行う作業をなくすことで、結果的に人件費を下げることにもなる。これは大きなゴールだった」(ラリー)
Oracleのクラウドは、3つのレイヤーで構成される。基盤としてOracle Database Cloud Serviceがあり、その上にWeblogic Java Cloud Serviceが載る。これだけではなく、Social、Mobile、Analytics、Identityの機能もその上に実装されている。「このプラットフォームの上でアプリケーションを作れば、そのままでソーシャルの機能が使える」とラリー。同様にモバイル、アナリティクスも、Oracleのクラウドプラットフォームにアプリケーションを載せればそれらの機能が使える。
そして「今後、クラウドで最も大事になるのがセキュリティだ」と言い、そのための機能をアプリケーションに入れる必要はない。Oracleならば、インフラとプラットフォームにセキュリティの機能は包含されているとも言う。
日曜日のキーノートでは、SaaSのアプリケーションもいまやOracleは数多く持っていることを主張した。今回も改めてそれを主張する。SaaSにはカスタマーエクスペリエンス、HCM(Human Capital Management)、ERPという主要な3つの分野があり、ERP分野ではOracleがパイオニアだとラリー。
「これら数多くのSaaSを提供できているのも、プラットフォームのパワーがあるからだ」(ラリー)
アプリケーションをOracleのプラットフォームに移せばマルチテナントになる。アプリケーションのレベルでマルチテナント性を確保する必要がないことのメリットは大きい。これはOracleだけが実現できることだと力を込めて言う。
Oracleが提供する多くのSaaSは、Oracleのプラットフォームで動いている。そのプラットフォームのサービスはユーザーも利用できるのが、OracleのSaaSの特長でもある。SaaSで足りない機能を拡張したり、オンプレミスのシステムと連携したりするのにもプラットフォームは利用できる。
「OracleがSaaSで使っているのとまったく同じプラットフォームを皆さんに提供する。ほとんどのSaaSはこれをやっていない」(ラリー)
たとえばセールスフォース・ドットコムでは、Oracleのプラットフォームでサービスは動いているのに、提供するのは独自のプラットフォームサービスだと指摘。「セールスフォース・ドットコムは標準ではないプラットフォームを顧客にオファーしている」とラリー。
OracleのどんなデーベースでもどんなJavaのアプリケーションも簡単にクラウドに載せられる。Javaではないものもソースコードの変換なしでクラウドに載せられるが、その場合にはIaaSを使うことになる。Oracleのデータベースであれば、ボタンを押すだけで簡単にモダンなクラウドになる。データは自動で圧縮されて10分の1の大きさになり、それで容量が減るだけでなく性能も向上する。さらに自動で暗号化もされ、選択すればインメモリデータベースで動かすこともできる。そして、アナリティクスの機能でビッグデータ分析もすぐに利用可能だ。このPaaSのサービスは、市場でユーザーがすぐに使えるようようになる。