“日本企業のDX”に伴走するパートナーとなるべく、精鋭を集めてDXBCを設立
富士通が、日本企業のビジネス変革をともに行うパートナーとして2020年に設立した「富士通DXBC」。2年間のうちに大手製造業を中心にさまざまな業種・業態の企業のDXに伴走し、全社DXのビジョンやガイドラインの策定から、アセスメント、実行プラン作成、プロジェクトマネジメントに至るまで幅広く手掛ける。
その立役者であり、同組織を率いる大西俊介氏は、富士通に入社する以前はNTTをはじめ、大手日系IT企業や外資系ファームなどで数多くのコンサルティングプロジェクトを手掛けてきた。富士通には2019年8月に理事として入社し、現在はグローバルカスタマーサクセスビジネスグループを担当し、執行役員SEVPを務める。
「富士通とは以前から度々縁がありましたが、組織として大きく変革しようという機運が高まった2019年に改めてお声がけいただき入社することになりました。グローバルでSEのトップマネジメントの経験があるということで、まずはSE組織に配属されたわけですが、そこで驚いたのがタレントレビューをする中で、人材リストに並んでいたのが50代ばかりだったことです。私自身38歳での転職が遅いと感じたくらいで、欧米ではトップクラスならプリンシパルやパートナーになるのは30代後半。正直いって、これが日本企業の元凶ではないかと感じました。そこで、もっと若い人材を発掘することにしたのです」
そのきっかけの1つが、若いメンバーとの交流だった。2019年秋に自動車業界担当のビジネスキックオフがあり、そこで成果とともに30代を中心とした新しいビジネスモデルの取り組みなどが発表され、荒削りながらも勢いや斬新さを感じたという。
「人は何かを判断する時に80%が経験に基づくといわれており、これまでは経験豊かな人ほど判断の精度が高い傾向にありました。しかし、変化の激しい時代にあって、未経験なことを判断するときに経験が邪魔をすることがあります。それを理解して経験から発想・判断するのを自制したり、若い世代に判断を委ねたりする賢明な方もいますが、そう簡単なことではありません」
「経験からしか判断できない」人は、どうしても年齢が高くなるほど割合が増える。また、変革のためにはエネルギーが必要ながらも、体力的に若い人にはかなわない。就業時間はともかく、DXは24時間心にとどめ、考え続けるほどの情熱がなければなし得ない。そこで大西氏はDX人材として30〜40代を中心に人材を抽出。顧客企業のスポンサーにも、そのくらいの年代層から選出することを勧めているという。
そして2020年、SEと営業が一体化されて製造・流通・自動車業界を担当する組織に。さらに、コロナ禍の到来によって人と直接会えない状況下で、大西氏は今後を担うDX人材発掘に加え、新たなキャリアモデルの創出に取り組むこととなった。
「SEと営業が融合し、どのようなキャリアモデルになるのかを考える必要がありました。とはいえ、以前従事したコンサルティング業界ではSEと営業の線引きはなく、パートナーやコンサルタントといったレベルの違いなので、同様のモデルになるだろうと推測できました。つまり、『ITの知識をもちながら、ビジネスや経営を理解し、顧客に寄り添っていける人』それがDX人材であり、今こそ求められる人材だろうと考えたわけです。幸いそうした人材がすぐに数名見つかり、DXに特化したコンサルティングサービスとしてDXBCを組織するきっかけとなりました」