データドリブン企業とは何か
データを経営や業務オペレーションに活かすデータドリブンという言葉は、欧米ではかなり一般的です。データドリブンとは、「データをアナリティクスした結果によって、経営や業務などのアクションを行うこと」です。例えば、需要予測の場合、データドリブンでは、過去データをもとに予測分析をして、その結果をベースに人間が判断します。古いやり方では、過去データをみて、予測を人間が単独で行います。
Systems of Recordと呼ばれるようなERPやエンタープライズアプリケーションでも、そのアーキテクチャを見ると、下の階層にはデータウェアハウスやデータレイクがあり、一番上の層がBI、AI、ダッシュボードなど、データを活用するための構造になっています。欧米の事例をみても、データを経営に活かすために、アプリケーションを刷新している企業が数多くあります。
日本においても、データ活用の重要性は認識されていますが、投資となるとギャップが生じているのが現状ではないでしょうか。実際、私は普段マーケティングの仕事をしていて、データ活用のコンテンツを話題としてセミナーを提供してるのですが、どうも食いつきが悪いのです。「投資意欲は見られるが、実際は投資しない」という意味で、私はこれを“逃げ水マーケット”と言っています。今後、ESG経営やSDGsの促進、Industry 4.0の普及など、データ活用のニーズが衰えることはありません。企業が競争力を増強するためには、データドリブン経営を“逃げ水”にすることなく、もっとデータ活用に投資をする必要があると考えます。
マッキンゼー社が最近、興味深いレポート『The data-driven enterprise of 2025』[※1]をリリースしました。
[※1] https://www.mckinsey.com/business-functions/quantumblack/our-insights/the-data-driven-enterprise-of-2025
2025年の企業におけるデータドリブンのトレンド予想をするものです。冒頭で「テクノロジーの急速な進歩、データの価値の認識、データリテラシーの向上により、『データドリブン』の意味するところが変化しています」と述べています。トレンドを見極め、正しい投資をする必要があるとしています。私なりに解説を加えてみたいと思います。
そのレポートによると、「2025年の新しいデータドリブン型企業」を定義するのは次の7つの特徴であり、すでに多くの企業がそのうちのいくつかの特徴を示し、さらに多くの企業がそのための道を歩み始めているとのことです。
- あらゆる意思決定、対話、プロセスに埋め込まれたデータ
- データをリアルタイムに処理し、配信する
- 柔軟なデータストアにより、統合され、すぐに使えるデータを実現
- データを製品のように扱うデータ運用モデル
- 価値を生み出すために、最高データ責任者(CDO)の役割は拡大する
- データエコシステムのメンバーシップが主流に
- プライバシー、セキュリティ、レジリエンスを考慮したデータ管理の優先順位付けと自動化
以下はレポートの内容を参考に、私なりに2025年の姿を考えたものです。くわしくはぜひ上記の原文のレポートを参照いただければと思います。