構想は10年前から。機が熟した今、満を持してリリース
実は構想自体は10年前からあったという。しかし、当時はまだ業務システムはオンプレミスが中心。そのうえ、データベースは重要な資産となるため、クラウドサービスと接続してデータを更新することに抵抗感を持つ企業が少なくなかった。今でもデータベースだけはオンプレミスに残すケースもあるほどだ。
それが「近年では開発者のマインドが変化してきました」と柴田氏。クラウド環境で業務システムを稼働させるケースが増え、クラウドサービスを利用することへの心理的なハードルはかなり下がっている。DXを背景に、内製化が進み、業務部門がローコード/ノーコードツールを使うケースも増えてきた。
開発者が使うツールもどんどん進化し、便利なものが登場している。同社 ソリューション事業部 シニアプロジェクトマネージャー 芝田勝氏は「かつてエンジニアは自分が使うIDE(統合開発環境)を固定していたものですが、今では『GitHub Copilot』や生成系AIなど、便利なものならどんどん活用しようという機運が高まってきました。セキュリティも担保されるようになり、慎重だった人も許容するようになってきたのでしょう」と話す。
いよいよ機が熟したと判断し、アイディーエスはマスタデータメンテナンスを実現するフルマネージドサービス「SMOOZ」を2023年4月に提供開始した。現在は無料トライアル版を提供しており、11月下旬からはプロプランを提供開始する予定だ。
繰り返し述べているように、SMOOZはマスタデータをメンテナンスする機能がメインとなる。ブラウザからノーコードで利用できるため、SQLを知らない非エンジニアでも簡単にデータを操作できるのがメリットだ。フルマネージドサービスで提供するため、自社内にサーバーやソフトウェアを導入する必要もない。
メンテナンスするデータベースは、現時点ではPostgreSQL、MySQLに対応している。また、データベースが稼働している環境はオンプレミスでもクラウドでもかまわない。ただしSMOOZがAWSで稼働しているため、メンテナンスしたいデータベースがAWSにあるなら「AWS PrivateLink」が利用可能で、ネットワークやセキュリティの観点から好都合だという。もちろんデータベースがオンプレミスで稼働していてもSMOOZは利用可能だ。企業のセキュリティポリシーに合わせて、VPN接続などを用意してセキュアにしておくといいだろう。今後はSQL ServerやOracle Databaseなどにも対応を広げていく予定だ。
業務効率化の観点からは手軽に更新できたほうがいいが、不正な更新はあってはならない。そこでSMOOZはユーザー権限管理機能も備えている。ユーザーごとにアクセスできる権限を細かく設定できる。IPアドレスでアクセス制限をかけることも可能なので、外部からのアクセスを制限することも可能だ。
それに監査ログ参照機能もある。手作業では更新履歴が残らないが、SMOOZであれば誰がどんな操作をしたのかログが残るので監査にも有効だ。管理体制の正当性を証明することに役立つ。
データ更新時にデータがばらつかないように、入力ルールを設定できる機能もある。デフォルト値の設定やプルダウンで選択、大文字・小文字のチェック、文字列か数値かなどのバリデーションも設定できる。データをCSVで出力することも可能で、個人情報保護などでデータにマスキングをかけることも可能だ。
現在は無料トライアルの提供のみだが、「プロプランとほぼ同じ機能が使えます」と柴田氏は言う。まずは試しに使ってみるといいだろう。