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「酒屋からデジタル変革を」数万×200の配送ルートから最適解を導き出すカクヤスDXリーダーたちの挑戦

「買いに行く」から「運んでもらう」へのパラダイムシフトを

顧客ニーズを徹底調査、アプリ改修でコンバージョン率も大幅改善

 配送管理の最適化を含め、同センターでは様々なデジタル活用に向けたプロジェクトが進行しているが、直近で成果が現れたものに新しい顧客向けアプリケーション(以下、アプリ)があると飯沼氏。これまでもアプリを通じて注文を受け、商品を配送する仕組みを構築していたものの、顧客のニーズを十分に反映できていなかったという。たとえば、以前のアプリでは「屋外へのお届けが可能」「1時間以内の配送」「冷やしてお届け」といったように、カクヤス側が提供できる機能を提示し、それをユーザーが選ぶスタイルだったが、実際には欲しい機能や重要視するポイントは当然顧客によって異なる。そこで、アプリの大幅な改修に着手した。

 開発にあたっては、事前に顧客へのインタビューを実施し、カクヤスに期待することやサービスの良い点を徹底的に調査。その調査結果を踏まえ、どのような設計やサービス内容、UXが最も使いやすいのかを明確にし、開発を進めていった。結果として、新アプリでは機能を並べ立てるのではなく、必要な機能を使う人にとって分かりやすく、シンプルに提供することを重視したと飯沼氏。

 「レビューや口コミでも『以前より使いやすくなった』という声が多く寄せられ、好評を得ています。また、アプリのダウンロードから実際の購入に至るまでのコンバージョン率が大幅に改善していることも確認されており、ユーザー体験の向上が成果として表れていることを感じていますね」(飯沼氏)

2025年6月までに配送管理システムを稼働へ

 今後より力を入れていきたい分野に、AIを活用した取り組みがある。現在試験運用に取り組んでいるものが、顧客からの電話注文をAIオペレーターが対応するシステムだ。AIが正確に注文を認識する能力は着実に向上している。現在は商用利用に耐えうるレベルに近づいており、まもなく本格的に導入できる見通しだ。飯沼氏は「この取り組みを始めた当初は、過去の音声や発注データを活用すれば自動化がかなり進むと考えていました。しかし実際に運用してみると、『黒霧島(焼酎の名前)の700ミリリットルを5本』という注文を『黒霧島を705本』と誤認してしまうなど、課題が出てきました」と振り返る。一つひとつユースケースを学習しながら改善を重ね、商用化に向けて調整を進めているとした。

 配送管理の課題解決にあたっては、2025年6月までにそれまでの成果としてシステムを形にすることを目指す。MVP(Minimum Viable Product)としてシステムを稼働させ、その後さらに強化していく予定だが、この配送管理においてもAIの利用を検討しているという。まずは、数理最適化の手法を用いて最適化された配送ロジックを構築し、それに基づいて配送を実行する。その後、実際の配達が本当に最適だったのか、さらに良い方法はないかを検証するためにデータを収集。収集したデータを活用して強化学習を行い、ロジックをより精緻化していく。強化学習を重ねることで、配送システムを進化させ、より効率的な仕組みを作り上げたいとした。

 「カクヤスはすべての配送を自社で手掛けており、お客さまに直接商品を届けています。だからこそ、テクノロジーとデータを活用してサービス価値を高める必要がある。最終的には、お客様が重たい商品を『自分で買おう』とするのではなく、『運んでもらおう』という発想が自然に出てくるようになれば良いなと思います。そのために、自社の配送力と効率性を最大限に高めていきたいです」(飯沼氏)

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

竹村 美沙希(編集部)(タケムラ ミサキ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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