UiPath:RPAからエージェンティックオートメーションへ
人間に例えるなら、構造的かつ論理的でシステム化された処理を得意とする「左脳」と、創造的かつ直感的で変化への適応力が高く意思決定を柔軟に行える「右脳」の関係が、ロボティック(Robotic)とエージェンティック(Agentic)の関係に相当する──RPA市場で世界的に大きなシェアを築いたUiPathは現在、RPAプラットフォームで築いたリソースをベースに独自の「エージェンティックオートメーション(Agentic Automation)」を提唱。ロボットとエージェントを補完的に機能させることで、AIによる業務プロセスの自動化をさらに推進させるとしている。
「エージェンティックオートメーションは我々がこれまで展開してきたロボティックプロセスオートメーション(RPA)の進化系。しかし、これはロボットがなくなるというわけではない。左脳と右脳がともに機能することで人間の活動が効率的に行われるように、AIの効率化にはエージェントだけでなくロボットも必要。両者が共同で作業することで自動化の未来が作られていく」(UiPath プロダクトマーケティング部 部長 夏目健氏)
では、エージェンティックオートメーションは具体的にどうRPAを補完していくのか。夏目氏は請求書の処理プロセスを例に説明している。従来のRPAによるワークフローでは、請求書が作成され、その処理が完了するまでにはロボットと人間がそれぞれのプロセスを以下のように担当している。
- 請求書のレビュー(ベンダ請求書と発注書の称号):ロボット
- 不一致項目の調査(不一致項目の内容を調査し、妥当性を判断する) :人間
- 不一致項目の解決(サプライヤとメールなどでコミュニケーション):人間
- 財務会計(ERPへの記録更新):ロボット
人間が担当する請求書の不一致項目の調査やその解決を図るためのコミュニケーションなどは、定型的な作業を得意とするロボットに任せることは難しい。しかし、自律的に動くことができるエージェントであれば大部分の作業を代替することが可能になる。「人間の作業を完全になくすことはできないが、手作業で費やしていた多くの時間を削減でき、人間は最終的なチェックや支援だけで済むようになる。生成AIのテクノロジが進化し、エージェントの機能が高度化したことでエージェンティックワークフローが実現した」(夏目氏)
UiPathはエンタープライズエージェントを作成する「Agent Builder」のプレビューを12月から開始する。国内ではヤンマー建機などがプライベートプレビューに申し込んでおり、「製造業の現場でまだ残っている手作業のオペレーションをエージェントに対応させるユースケースをいろいろと思いついている」という期待度の高いコメントも寄せている。ロボットともに培ってきた自動化というケイパビリティをエージェントのパワーで強化し、「より価値のあるオートメーションを作っていく」(夏目氏)ことが次の同社のミッションとなる。